ワクチン”未接種”ジョコビッチの豪州入国ビザ取り消し問題が世界に波紋…異議を申し立て国外退去は10日まで保留
新型コロナウイルスのワクチン接種免除の書類不備のため、豪州メルボルンのタラマリン空港に到着後に国境警備隊に入国ビザを取り消されたテニスの世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(34、セルビア)が、豪州の連邦裁判所に異議を申し立て10日の午前10時まで国外退去などの措置が保留されることが明らかになった。 スカイスポーツなど複数のメディアが報じたもので、大会4連覇のかかる全豪オープン出場のためメルボルンにフライトしてきたジョコビッチは、最終審理の行われる週明けの10日まで、メルボルン市内のホテルに隔離された状態で留まるという。 昨年の全豪オープン覇者であるジョコビッチは医学的理由でワクチン接種の免除が認められたとし、事前に接種免除の申請を出し、二つの医療専門家委員会による審査をへて全豪オープンの大会主催者も認めていたが、国境警備隊はワクチン接種を免除するための証明に不備があったことを理由に入国を許さなかった。 最終的にどんな結論が出るかはわからないが、母国のセルビア国内ではファンによる抗議活動が起きるなど、世界中に波紋が広がっている。
豪州の人々がジョコビッチにいら立つ理由
英ガーディアン紙は「彼のビザの何が問題だったのか?」として今回の問題の裏事情を解説した。 「複雑な詳細はまだ明らかにされていないが、国境警備隊は、ビクトリア州の手続きにのっとっていないように見える。ジョコビッチのワクチン接種の医学的免除の申請の根拠については分からないが、豪州テニス協会は、連邦政府から、豪州に隔離手続きなしで入国したい場合、新型コロナウイルス感染経験は、ワクチン接種と同等の扱いにはならず、認可理由にならない旨を1度以上伝えられていた」と紹介。 さらに「豪州予防接種技術諮問グループ(ATAGI)は、ビクトリア州政府と豪州テニス協会が整備した手続きを承認しなかった。ジョコビッチが医学的な免除書類を持っていようとも、実際のビザ申請は連邦政府の案件だった。これはカレン・アンドリュース内務大臣、もしくはスコット・モリソン首相に判断が委ねられることを意味する」と説明した。 ジョコビッチは、空港から入国管理局によって運営されているメルボルン市内のホテルに移送されたが、コーチのゴラン・イバニセビッチ氏を含め、ジョコビッチに同行していたサポートメンバーは問題なく入国を認められたという。 また同紙は、「テニス界はどのように反応したか?」として関係者の反応コメントを掲載している。 全豪オープンの元大会ディレクターだったポール・マクナミー氏は「ジョコビッチの扱われ方にショックを受けた」と語り、女子シングルス世界ランキング1位のアッシュ・バーティーは、ジョコビッチの(医学的理由による)免除を認可した全豪オープン主催者の判断について「難しいものだと思う。豪州の人々にとってどれだけ厳しいことだったかを理解している。特にビクトリア州の人々はこの18カ月、2年の間本当に大変だった。彼らが(ジョコビッチの免除)判断に、なぜいら立ちを見せているのか理解できる」とコメントした。