BMIで健康度は測れない、むしろ害になることも、体重より気にすべきこととは
BMIに代わる指標は?
スタンフォード氏は、肥満が気になるのであれば、ウエスト周囲径やウエスト・ヒップ比(W/H比)の方が良い健康指標になるかもしれないと助言する。過剰な内臓脂肪は、体重に関係なく、心血管疾患などの健康への悪影響と強く関連しているからだ。 その点で、身長とウエスト周囲径から計算される「BRI(体丸み指数)」の方が、BMIより優れた指標となるかもしれない。BRIは、心臓病、糖尿病、腎臓病、がんなどの疾患リスクを推定する上で、BMIなどの指標よりも優れていることが示されている。 2024年6月に医学誌「JAMA Network Open」に発表された研究では、3万人以上の米国人を20年にわたって追跡した結果、BRIが最も低いグループと最も高いグループの死亡リスクが目立って高いことが明らかになっている。論文の著者らは、この結果は、体に負担をかけずに死亡リスクを推定するツールとしてBRIを使える根拠になると主張する。 内臓脂肪や体組成を測るにはMRIやDEXA(DXA)といった高度な機器を使う方法もあるが、大半の人にとって簡単に利用できるものではない。どの指標にも欠点があるため、専門家は、簡単に計算できるBMIが今後10年以内に廃れることはまずないだろうと考えている。 しかしトミヤマ氏は、もう体重を測る時代は終わったのではないかと主張する。「健康状態が良好であれば、体重を気にする必要はありません」と氏は話し、代わりに健康的な食生活や十分な運動を重視すべきだと提案する。 スタンフォード氏も、「オリンピック選手にもいろいろな体型の人がいます。健康的な体型は1つではありません」と言う。
文=Natalia Mesa/訳=三枝小夜子