《月経と女性の恐るべきヒストリー》平安時代は血を麻布で拭き「月経小屋」に隔離…「月経=穢れ」の歴史
#11 アンネナプキンの名前の由来に「甘い秘密」の一節
アンネナプキンの名前の由来は、他でもない『アンネの日記』。当時、そのネーミングに難色を示した販促担当に、件の27歳の女性社長が差し出した本には、こんな一説があった。 『月のものがあるたびに(まだ3回しかありませんが)苦痛で、不快で、うっとうしいにもかかわらず、甘い秘密を持っているような気持ちがします。ある意味でうるさいことではあっても、心の中で、この秘密を味わう時の来るのをいつも待ちこがれるのはそのためです。1944年1月5日(水)』 アンネ・フランクが、潜伏中の日記につづった、この秘めたる心情こそが、アンネナプキンのコンセプトと重なったのだ。苦痛で不快なのに、どこかで待ち焦がれている甘い秘密、とはなんと趣き深い表現だろう。月一でひっそり訪れて女であることを自覚させられ、嫌なのにホッとするような不思議な官能、そこに今更ながら共感せざるを得ない。
#12 月経=ケガレ扱いされる狂気のセクハラが、日本で長引いた訳
血は死を予感させ、感染源ともなる不吉なものとして差別意識を生んだ訳だが、日本では男系天皇の国として男性の地位を絶対のものとする「民衆統治」に月経が利用された歴史がある。 「同じ食器を使うと死ぬ」とされたアフリカやインドの地域も含め、要は女性の地位が低い国ほど月経への偏見も長引く傾向に。日本で生理用品を買うと黒い袋に入れたり二重包装にするのは、海外で驚かれている。そうした差別の裏返しは、一体いつまで続くのか? 残念なことに「アンネ」撤退後、表舞台から消えた女性創業者、坂井泰子さんはマスコミでなぜかいろいろ揶揄された。月経への偏見がまた再燃したのだ。 揶揄する記事には、月経をビジネスにした女性、という文脈が読み取れる。社会にうごめく女性社長への嫉妬もあったはずだが、なんという不条理だろう。しかし歴史社会学者の田中ひかるさんは、その人の起業の動機をこう分析している。ノブレス・オブリージュ(高貴なる者が果たすべき義務)であったと。