片づけられないADHDの妻にモラハラ夫が放った「信じられない」暴言…「消えてしまいたい」ほどの地獄の日々
「ニューロダイバーシティ」という考え方
発達障害の概念が広がった一方で、○○障害=□□の人、というようなラベルができてしまっています。発達障害といっても、人それぞれ特性が違い、その困りごとも夫婦やカップルごとにさまざま多様なものがあります。この多様性を表現した「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という考え方があります。 ニューロダイバーシティ(神経多様性)とは、「Neuro(脳・神経)」と「Diversity(多様性)」を組み合わせた言葉です。この考え方では、脳や神経の働きの違いを「多様性」としてとらえ、お互いを尊重しながら、その違いを社会で活かしていこうという考え方です。特に、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害に関連する特性について、能力の不足や優劣ではなく、「人間の遺伝子の自然で正常なバリエーション」として捉えることを重視しています。 こうした違いは夫婦やカップルの間にも影響し、相手が感情的なつながりを求めていることに気づきにくかったり、生活ペースが合わなかったりなど、関係性に摩擦が生じることもあります。しかし、この違いを「個性」として理解し、お互いの特性を尊重することが大切です。「神経多様性」という考え方は、相手を「変わっている」と否定するのではなく、「違いを活かして一緒に歩む方法」を見つける手助けになります。
互いを否定しあい、関係が悪化
「カサンドラ症候群」は、ニューロダイバーシティ(神経多様性)が関わるカップル関係で起きる特定の心理的・感情的な苦痛を指す概念です。現在、医学的に正式な診断名ではありません。この名称はギリシャ神話のカサンドラに由来します。彼女は未来を予見する能力を持ちながら、その言葉が誰にも信じられなかったという逸話があります。この概念は、特に自閉スペクトラム症(ASD)を持つパートナーと共に暮らす人の苦悩を説明する際に用いられます。 この「カサンドラ症候群」は、元々はASD(自閉スペクトラム症)のパートナーと定型発達のパートナーとの関係性の苦悩を指す言葉です。しかし、あかねさんのようにADHD(注意欠如・多動症)とASDの組み合わせになると、状況はさらに複雑になります。 最初は、お互いに持っていない特性に魅力を感じていたのに、次第にその特性が許せなくなってしまうことがあります。結果として、お互いを否定し合うようになり、関係がさらに悪化してしまうのです。 ※ASDの発現は男性に多く、カサンドラ症候群は女性パートナーに発症するケースが多いとされますが、性別に関係なく誰にでも起こり得ます。