片づけられないADHDの妻にモラハラ夫が放った「信じられない」暴言…「消えてしまいたい」ほどの地獄の日々
発達障害の家族との関係に苦しんでいる人、身近にいませんか? それか、もしかしたら、あなた自身が悩んでいるパートナーとの関係の背景に発達障害の特性を疑っていませんか? 【写真】片づけられないADHDの妻にモラハラ夫が放った「信じられない」暴言 暗黙の了解が理解しにくい、自分だけのルール・こだわりがある、白黒はっきりさせないと気が済まない、相手の気持ちが分からない、これらの傾向は、発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連していることがあります。ADHD専門のカウンセリングルーム「すのわ」の代表であり、臨床心理士・公認心理師の南和行さんが、 ASDの人に共通する「対人関係のトラブル・コミュニケーションの問題」の特徴と家族の苦悩、それを理解するために役立つ概念について解説します。
ADHDとASDの夫婦間で起こるトラブル
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、神経発達症の一種で、人と関わることが苦手、コミュニケーションをとることが苦手、想像力が乏しい・こだわりがあるなどが特徴です。これらの特性が日常生活に影響を及ぼし、特に身近な人との関係性で問題が起こることが多くあります。 筆者が代表を務めるADHD専門のカウンセリングルームには、ASDのパートナーを持つ方が、関係性に悩みを抱えて相談に来るケースが多くあります。ADHDの方は、自分にはないきっちりとした性格を持つASDの方を魅力に感じることがあります。一方ASDの方は社会的なコミュニケーションが難しいことがありますが、ADHDの人は社交的で親しみやすい性格であることが多く、その点に魅力を感じる場合があります。 このような特性の組み合わせから、ASDとADHDのカップルが多く見られるのかもしれません。 その中で話される悩みを元に、典型的な架空の事例を紹介し、それに関連する発達障害の特性と家族の悩みについて解説します。
あかねさん(40代主婦)の場合
あかねさんはADHDの特性があり、家事の段取り、片付けや物の管理が苦手です。コロナ禍以降、夫の在宅勤務が増えたことで、夫婦間の問題が顕著になりました。夫は、思い通りにいかないことを許せない性格で、特に家事について、あかねさんを厳しく批判します。例えば、片付けが苦手なあかねさんに対し、「主婦なのに家事もできないのは人としての価値が低い」といったモラハラ発言を繰り返します。一方で、自分の趣味である鉄道模型のパーツの管理や整理は放置しているため、二人の間には不公平感も生じています。 ※モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度、表情などを使って精神的に相手を追い詰める嫌がらせのことです。侮辱、無視、過度な批判、威圧的な態度などが該当し、家庭や職場などあらゆる人間関係で発生する可能性があります。目に見えにくいため、被害者だけでなく、加害者も自分の言動がモラハラだと気が付かない場合があります。 子育てに対しても不安が多くあります。3歳の娘と遊んでくれるのはいいのですが、遊び方が一方的で、娘が泣いて嫌がっても、しつこくくすぐり続けることがよくあります。あかねさんが、娘が嫌がっていることを指摘しても、「子どもは泣くものだ」という独自の論理を主張して、自分のスタンスを変えることはありません。