もてなしの“サプライズ”と皇后さまの笑顔にあふれた両陛下のインドネシアご訪問【皇室 a Moment】
■「令和流」 自分の言葉で話された “ぶらさがり取材”
天皇陛下は、旅の終わりに改めて若い世代の交流について「学生さん方が非常に高い志を持って日本語あるいは日本文化を学ぼうとしている様子、しかも自分の思っていることを非常に洗練された良い日本語で私たちに語りかけてくれたことが非常に印象に残っております」「将来的にこの日本に関心を持っているようなインドネシアの方々、またインドネシアに関心を持っている日本の若い方々、相互の交流によって両国間の親善関係がより深まることを心から願っております」と振り返られました。 ――天皇陛下が現地の衣装を着て、ご自身の言葉で話されているところがとても新鮮に感じました。 記者たちが囲んで話を聞く取材を“ぶら下がり取材”と言いますが、これこそ“令和流”だと思います。陛下は皇太子時代から外国訪問先で“ぶら下がり”に応じてこられましたので、このやり方を即位後も踏襲されたのだと思いました。
■大きな成果 ポイントを押さえた皇后さまの同行
――皇后さまの体調が戻られたら、いつかお2人でこういう場面があるとうれしいですね。井上さん、今回の取材を改めて振り返ってどう感じられましたか。 当初、皇后さまの同行が予定されていない場面もあって、心配する声もありましたが、終わってみれば、若い世代との交流に急きょ同行するなど、ポイントとなる行事は外されなかったという印象です。 そうしたなか、ボゴール宮殿では、インドネシア側の仕切りのもと“インドネシアスタイル”で両陛下の笑顔が伝えられ、今後、日本でもこうした取材が許されてほしいと強く思いました。 即位後初めての親善訪問は、若い世代との触れ合い・励ましに意識しながら、残留日本兵の遺族らも含めて交流の輪が広がって大きな成果を収められたと思います。天皇陛下はかねて若い世代との交流を意識されてきましたので、今回のスタイルが令和のやり方としてベースになって、皇后さまと二人で親善を広げられていくと思いました。 ――天皇皇后両陛下がそろって国際親善の場に立たれているところを見て、見ている我々もとても平穏で温かい気持ちになりました。またこういった場面が見られたらうれしいなと思います。 【井上茂男(いのうえ・しげお)】 日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。