野球殿堂7不思議の落選を続けた星野氏、原氏、平松氏の殿堂入りはなるか
今年度の野球殿堂入りの表彰者が16日、野球殿堂博物館より発表される。すでに発表されている平成29年の野球殿堂入り候補者は「プレーヤー表彰」が16人、「エキスパート表彰」が14人の計30人。選出は「プレーヤー」は野球記者暦15年以上の記者、「エキスパート」は過去の野球殿堂入り者、表彰委員会幹事、野球記者暦30年以上の記者の投票によって行われ、共に3分の2以上の有効投票で、75%以上の得票を得た候補者が殿堂入りを果たすことになる。 今年度の「プレーヤー表彰」の有力候補は、現・千葉ロッテ監督で、西武の現役時代には3拍子揃ったハイブリッド捕手として捕手の概念を変えた伊東勤氏(53)と、中日一筋で通算2480安打、歴代最多の487二塁打の記録を持つ“ミスタードラゴンズ”立浪和義(47)の2人。伊東氏の通算134盗塁は捕手の歴代最多で西武の監督としても日本一に輝いている。昨年度の投票でも伊東氏が172票、立浪氏が171票を獲得しており、今回は、共に当選の可能性が高い。 それよりも注目は、監督、コーチ、審判の引退後6か月以上経過している者、プレーヤー表彰の有資格者だった者で引退後21年以上経過した者が対象となる「エキスパート表彰」だ。 殿堂入りの“7不思議”と言われるような落選を続けていた星野仙一・楽天副会長(68)と、元大洋の平松政次氏(69)、そしてプレーヤー表彰で、選出されないまま2年前に資格を失っていた元巨人の原辰徳氏が、エキスパート部門で復活選出されるかどうかに注目が集まっているのだ。 星野氏は、監督として中日、阪神、楽天の3球団に跨って優勝に導きながら、なぜか2年連続で落選していた。3チームで優勝を果たしたのは故・三原脩氏、故・西本幸雄氏と過去に3人しかいない。監督としての通算1181勝は、歴代10位の記録である。その三原氏、西本氏だけでなく、上位の9人全員と通算勝利数では13位の故・仰木彬氏も2004年に殿堂入りしている。実績だけでなく、闘将と呼ばれる強いリーダーシップなどファンに対する印象度から行けば、殿堂入りになんら不足はない。しかし不思議と票が集まらなかった。 またカミソリシュートを武器に大洋ホエールズ(現横浜DeNA)のエースとして201勝を挙げている平松氏も弱小チームで記録した201勝という価値ある数字が評価されず、昨年度の投票では、平松氏が次点の70票、星野氏は69票で、それぞれ13票と14票が75パーセントの得票ラインに足りなかった。 また原氏はプレーヤー表彰でエントリー最終年だった2015年には243票で、当選にわずか6票及ばずに落選した。ちなみにその年度の殿堂入りは古田敦也氏だった。 巨人での現役時代の原氏の打撃成績は、通算1675安打、382本塁打、タイトルは打点王、新人王くらいで物足りないかもしれないが、伝統ある巨人の4番を務めたインパクトに加え、巨人の監督としてリーグ優勝7度、日本一3度に輝いている。それらの実績を踏まえると選出されても不思議ではなかったが、エキスパート表彰が作られてから、監督としての実績をプレーヤー表彰の選考基準に含むかどうかのガイドラインが曖昧となっていて、なぜか選ばれなかったのである。だが、今回、候補者となったエキスパート表彰は、監督、コーチ、審判の実績を讃えるものなので、もう、その部分での議論の余地はないだろう。