野球殿堂7不思議の落選を続けた星野氏、原氏、平松氏の殿堂入りはなるか
エキスパート表彰は、メジャーのベテランズ選出を参考に過去に殿堂入りから漏れた功労者の掘り起こしと、監督、コーチとしてプロ野球の発展に多大な貢献をした人の殿堂入りを目的にして2008年に制定されたもの。過去9年の表彰者は、故・青田昇氏、故・江藤慎一氏、故・皆川睦雄氏、外木場義郎氏、故・榎本喜八氏のたった5人。2014、2015年の2年間は該当者がなかっため、投票に関する規約が変更され、投票の際の連記人数が3人から5人に増やされて、昨年度、故・榎本喜八氏にようやく光が当たった。 エキスパート表彰の投票者は、過去の殿堂入り者、表彰委員会の幹事、記者暦も30年以上の記者と、選りすぐりのメンバーになっていて、プレーヤー表彰の投票資格者が345人に対して、エキスパート表彰のそれは120人と少ない。現在は、一人が5人連記で投票を行うが、75パーセント以上の得票ラインとなると、84、5票が必要となり、依然、非常に狭き門となっている。 球界関係者の話によると「投票基準が明確でないので、“好き嫌い”が投票に反映されていて特に約30人の殿堂入り者の方々の影響が大きく、記者暦30年以上となると、毎年、大きく投票者の顔ぶれも変わらないので、なぜ、この人が落選? という事態が続くんです」ということらしい。 それが野球殿堂7不思議を生むことになり、エキスパート表彰で複数の表彰者が出たことが過去に一度もないのも、その影響。今年度も、投票方式、規約に関しての見直しが行われておらず、昨年度選出された榎本氏の票が、新たな候補者となった原氏に流れ、また昨年度に63票を集めた権藤博氏(70)も有力の候補のため、ひょっとすると、今回も票が割れて、星野氏、平松氏、原氏の3人が同時に選出されることは難しいのかもしれない。 殿堂入りの権威や、選出の価値観の多様性は必要だと思う。だが、そこに候補者の功績をそっちのけに投票者の個人的な価値観が、あまりにも大きく影響を与えるのだとすれば、野球ファンは納得しない。 それに光を当てねばならない過去の功績者は、まだまだたくさん残っている。 発表は16日だが、また殿堂入りの7不思議が続くようならば、野球記者クラブ内だけの記者に限られているような投票資格者のあり方を含めて殿堂入りの選考方法の見直しがより活発に議論されることになるだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)