【毎日書評】年末の大掃除も欲ばらない。人生を豊かにする「掃除」の心得
欲張りすぎて失敗したり、他人の欲望や執着に悩まさせられたり──。 そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。「欲望」は人間と切っても切り離せない関係にあるだけに、それは仕方がないことなのかもしれません。 そこで、あらためて「欲望」について熟考し、「欲望」と賢くつき合えるようになることを目指して書かれたのが『欲ばらない練習』(石川勇一 著、フォレスト出版)。 私は30年近く心理学者として活動してきました。人間の心理を研究し、大学の教壇に立ち、多くの方のカウンセリングを行い、また初期仏教の修行も行い、瞑想の指導もたくさんしてきました。この本の内容は、これらの教育、研究、臨床、修行の経験に基づいています。(「はじめに」より) 普通の心理学と大きく異なるのは、著者がもっとも情熱を注いで取り組んできた初期仏教の教えや修行の経験にも基づいている点だそう。現代心理学はまだまだブッダの智慧に追いついていないため、初期仏教の教えをよく理解して実践すると、さまざまな発見があるというのです。 私は生来欲ばりな気質なので、欲ばってしまって失敗したり、後で後悔したことは数えきれないほど何度も経験しています。しかし、もっと大切なことを知りたい、もっと向上したい、もっと多くの人に幸せになってほしいというよい欲は、私を確実に成長させてくれました。ですので、本書の内容は、私自身にも今も実際に役立っていることでもあります。 この知識と方法を通して、読者の皆さまが、欲ばりすぎずに、美しく豊かな生き方を見つけ出し、こよなき幸せをつかんでいただきたいと心から思っています。(「はじめに」より) きょうは「欲望」との賢いつきあい方を具体的に提案した第II部「欲との賢いつきあい方【実践編】」のなかから5章「掃除」に焦点を当て、年末の重要なタスクである掃除についての考え方を抜き出してみたいと思います。