「ストレス耐性はありますか?」と聞いてはいけない…転職面接で応募者の打たれ強さを見抜くワザあり質問
■「他社に行かないか」を見抜く 応募者にとっては、複数の企業から内定を獲った上で、処遇面や社風、やりがい等を比較検討して転職先を決めたいのが当然の本音です。 自社に合いそうな良い人材なら、早めに決めてもらわないと、すべての採用工程に影響が出てしまいます。そこで次のような質問が有効です。 OK! ---------- ①「これまでのやり取りを通じて、あなたは非常に優秀であることがわかりました。でも、これだけ優秀なら他社も放っておかないですよね?」 ②「いま転職活動中とのことですから、他社も複数受験されていると思います。差し支えない範囲でかまいませんので現在の進捗具合を教えてください」 ③「弊社から内定をお出しした場合、受諾するかしないかの決断にはどれくらいの期間が必要ですか?」 ---------- ①応募者側から他社の存在を語ってもらう、いわば誘導尋問の一つです。ここで他社よりも自社を優先している旨が伺えたら、高評価でしょう。 ②たとえば「それは回答を差し控えます」と、まともに回答しない人が自社に合うのかが一つの判断ポイントです。 ここで他社の選考がまだあまり進んでいない情報を得たら、ぜひ③の質問をしてみましょう。 ③誤解のないように要注意ですが、「実際にいつ入社できるのか?」ではなく、当社で働くかどうかの決断に必要な時間を問うています。一般的な「2週間以内」を一つの目安として、あまりに長いようなら縁がないと見限ることも必要でしょう。
■「社風に合うか」を見抜くための質問 社風というのは、なかなか言語化、定量化しづらいものです。また、「当社は社長も含め、重役も部長も課長も若手も、みんな『さん』付けで呼び合う風通しの良い文化です」と、求人広告でPRしたとしても、たとえば儀礼的に「さん」付けで呼んでいるだけで実はパワハラが横行しているなら、風通しが良いとは到底言えません。 したがって、「こんな会社だと知ってたら入社しなかった」となりかねないと思われる、自社ならではのネガティブ要素に目を向けて、事前に確認するのが間違いないやり方です。 次のような質問が有効となります。 OK! ---------- ①「参加を強制されることはありませんが、社長が特定の組織団体(政党、宗教、球団等)を推していて、そういったことに抵抗はありませんか?」 ②「当社は大半が職人気質で、既存の社員達から認められないと、やっていくのは難しいのですが、大丈夫ですか?」 ③「当社には、いわゆるお局さん的な存在がいますが、そのような方の下でもやっていけますか?」 ---------- ①強制しなくても、こうした組織風土がそもそも「無理!」という人も一定数います。 ②簡単には「大丈夫」とは回答しづらい、かなりハードルの高い質問です。ただ、自社の社風がそうなら、ごまかさずにきちんと確認して入社の覚悟を問うべきです。 ③ここも②と同じです。「お局さん」を「部下に厳しい部長」「細かい報連相を求める課長」など、自社なりに置換してください。自社にいるそうした既存社員を軸に、その部門を運営していく方針なら、事前にこのようにきちんと伝えておくべきです。 ■配属先や上司と合うかを見るには 中小零細企業ゆえに、「採用後はこの部門のこのポジションに配属する」と決めているケースが大半でしょう。 たとえば「社長とは相性が良く高評価で採用したが、現場ではソリが合わず短期退職」というのは枚挙にいとまがありません。実際に一緒に働く現場の職員を面接に参加させるやり方を推奨します。 それに加えて、次のような質問が有効です。 OK! ---------- ①「当社の経理部は経理オンリーではなく、人事も総務もやってもらうのですが、大丈夫でしょうか?」 ②「配属先の仕事は、閑散期と繁忙期の差が激しく、月単位で勤怠が大きく違いますが、そうした勤務体系は大丈夫でしょうか?」 ③「配属先のメンバーは皆、あなたと年が離れていますが、やっていけますか?」 ④「配属先の上司は、面倒見が良い反面、厳しい指導で知られていますが、やっていけそうですか?」 ---------- ①配属予定先の部署に自社特有のものがあれば、先回りして伝えておき、その覚悟を問います。 ②ここも①と同じで、配属先の働き方に特徴があるなら、大丈夫かを事前に確認しておきます。 ③ここも①②と同じで、職場の人員構成や雰囲気を事前に伝えておき、やっていけるかを確認します。 ④業務上、最も関わりが出てくるはずの上司の特徴を伝えて、やっていけそうかを確認します。 ---------- 中谷 充宏(なかや・みつひろ) キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士 同志社大学法学部法律学科卒。新卒入社したNTT(日本電信電話株式会社)勤務後、1社転職を経て2004年にキャリアカウンセラーとして独立。マンツーマンで依頼者の転職を支援する「就職&転職のパーソナルキャリアコーチ」。米国MBAホルダーや代表取締役といったエグゼクティブ層から、転職回数が多い等のハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績がある。また社会保険労務士として人事採用コンサルティングの経験も豊富で、人事部長として企業人事を一任されるケースもあり、生々しい採用現場や面接シーンも熟知。 著書に『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』、『30代後半~40代のための 転職「書類」受かる書き方』『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』『20代~30代前半のための転職「書類」受かる書き方』(秀和システム)等多数。M&Nコンサルティング ----------
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士 中谷 充宏