【中日新聞杯回顧】中盤で緩まないデシエルトの理想的な逃げ切りV “伝説のダービー組”が力みせつける
左回り中距離ベストのロードデルレイ
2着ロードデルレイは、デシエルトには完敗だが、鳴尾記念除外で狂った歯車をこの2戦でようやく修復できた。ベストは実績をたどればわかるように、左回りの中距離。今年の初頭、白富士Sを1:57.2で勝った時点で、最大目標は天皇賞(秋)だったはず。なかなか順調に使えない面もあり、目標は来年以降に持ち越しとなったが、なんとか仕切り直して天皇賞(秋)に向け、着実にステップアップしていってほしい。 今回は先にコスモキュランダが動いたことで、これを目標に組み立てたものの、その分、先頭にいるデシエルトへの意識が薄れた。自力勝負にいけないあたりに、まだまだ弱い面を感じるが、現状、力を出させるには最適解。無理はさせられない。体質さえ強化できれば、タイトルをとれる能力は秘めている。 3着はマテンロウレオ。枠順をいかし、道中はインでじっくりなだめながら進め、脚を溜めて直線勝負に。進路が見つかるまでじっと待ったことが末脚につながった。手の内に入れている鞍上ならではの競馬だった。近走逃げていたのは、リズム重視ゆえ。今回の好走はマテンロウレオの学習成果でもある。この馬もドウデュースが勝ったダービー出走馬。1、2着馬より先に動いて勝負にいき、13着だった。元値がちがう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳