甲子園決勝で投げる星稜・奥川と回避した大船渡・佐々木の違いはなぜ生まれたのか?
いよいよ夏の甲子園の決勝が午後2時にプレーボールとなる。24年ぶりの決勝進出となった星稜と夏は初の決勝舞台となる履正社という高校野球ファン垂涎の好カードとなったが、注目は今秋のドラフトで1位での重複指名が確実視される星稜の奥川恭伸の起用法だろう。 前日練習で林監督は「私の思いは決まっている」と言った。 準決勝の中京学院大中京戦に先発直訴した奥川が、87球の省エネ投球で肉体への負担を最低限に抑え、しかも、今大会から設けられた決勝前日の休養日の効用を考えれば、先発起用されるのは間違いないと予想される。 「最後まで楽しく。すべてを出し切りたい」 奥川も、そのつもりで前日調整を終えた。 そこで頭に浮かぶのが、同じドラフト1位候補として、晴れの甲子園決勝の舞台で投げる奥川と、岩手大会決勝での登板を回避して甲子園に出場できなかった大船渡の佐々木朗希との違いが、なぜ生まれたのか、である。 両エースの決勝までの登板を比較してみる。 星稜は、ここまで5試合を勝ち抜いてきた。 奥川は 1回戦の旭川大戦(8月7日)では先発して3安打9奪三振の完封、94球。2回戦の立命館宇治戦(13日)では先発を回避、3番手として登板して2回3分の1を投げて2安打3奪三振無失点で39球。3回戦の智弁和歌山戦(17日)では延長14回の死闘を一人で投げ切った。3安打23奪三振で1失点だったが、これは味方のエラー絡みで自責は0、球数は165球に及んだ。翌18日の準々決勝の仙台育英戦は登板回避。だが、ブルペンには行った。そして1日の休養日を挟んで20日の中京学院大中京戦では、7回87球。ここまで4試合で、球数は385球である。 昨年、金足農の吉田輝星(現在、日ハム)は決勝までの6試合すべてに先発して881球を投げたことを考えると、奥川が決勝で130、140球投げたとしても遥かに少ない。智弁和歌山戦の165球は想定外だったとしても林監督が決勝までの5試合を考えて上手く奥川の球数をマネジメントしてきたことがわかる。 では、一方の大船渡の佐々木の岩手大会の登板はどうだったのか。