<9年ぶりの春―鳴門>第94回選抜高校野球 支える人々/下 4人のコーチ陣 /徳島
◇気負わず挑め 多方面に特化、手厚い指導体制 鳴門には森脇稔監督、北谷雄一部長のほかに、打撃や守備、バッテリーの指導などを担当する4人のコーチがいる。手厚い指導体制を魅力に感じて鳴門への進学を決めた選手も多い。各コーチを紹介する。【国本ようこ】 ■藤井肯人(よしと)コーチ(34=投手・捕手担当) 選手たちとは兄のような立ち位置で気さくに対話する。小松島西の野球部長だったが、3年前に保健体育科教諭として着任しコーチに。指導陣唯一の投手出身として経験を伝えると共に、毎日、投手・捕手全員とコミュニケーションを取るよう心がけている。「センバツ初戦は優勝候補の大阪桐蔭だが、いつも通りプレーすれば勝機はある。気負わず挑んでほしい」 ■橋本治男コーチ(48=投手・捕手担当) 森脇監督の誘いに応じ、2007年にコーチに就いた部OB。サツマイモや大根を栽培する農業の傍ら、週1回指導する。選手の個性を崩さず、良い点を引き出すことがモットー。図に乗っては困るとあまり褒めないが、「鳴門はけなげで素直な子が多い。勝つ喜びを彼らに植え付けたい」と見守る。「センバツでは悔いの残らないよう思い切って力を出してほしい」 ■住友健人(はやと)コーチ(47=守備・走塁担当) ヤクルトスワローズの元プロ。14年からコーチとなった。「技術の前に人としての姿勢が大切」という故野村克也監督の教えを、選手たちにも伝える。「自分が学生の時は分からなかったが、何より大事なのは取り組む姿勢。継続的に声をかけ、意識付けをしている」。鳴門野球部時代に主将を務めた経験から、三浦鉄昇主将(3年)にナインへ声かけをすべきタイミングなどの助言もする。 ■福本学コーチ(50=打撃担当) 部OBであり、森脇監督が徳島工(現徳島科技)にいた頃から、指導を共にするヘッドコーチ。鳴門では07年からコーチを務める。「自分の学生時代は『もっと練習できたんじゃないか』と後悔で終わった。そんな子を一人でも減らしたい」と、選手に注ぐ目は厳しくも温かい。「対外試合ができずぶっつけ本番で甲子園を迎えるのは不本意だが、いい勝負をさせてあげたい。それが僕らの役目だ」