高校ではお笑いと音楽の「二刀流」 列車でギター演奏も「貸して」と言った女の子たちが… 話の肖像画 喜劇役者、劇団SET主宰・三宅裕司<4>
《高校時代は、新宿末広亭(寄席)に10日興行のうち9日間通ったこともあるそうだ。とはいえ落語家にならなかったのは、お笑いと音楽の両方ができるものを考えていたからだ》
高校2年生のとき、国文学研究会の旅行で三重県の神島に行きました。
その旅行の列車の中で、一緒に行った友達とギターを持ち出して、グループサウンズのコードだけ覚えて何曲か演奏したんです。車内に乗っていたお客さん、特に女の子たちに「どうだ」って感じでね。
しばらくたって、2人の女の子たちが「ギターをお借りしていいですか」と言うから、「おっ、ギターやってるの?」なんて上から目線で渡して、見ていたんです。
そしたら、ビートルズの「If I Fell(イフ・アイ・フェル=恋におちたら)」を英語で、しかも見事にハモッて弾き語りをしたんですよ。「早く言ってよ。こっちはグループサウンズを何曲も歌っちゃったじゃない」って感じですよね。
その後、その女の子たちと何かあったかって? あるわけないでしょ。(聞き手 慶田久幸)