〈目撃〉ヒグマがオオカミの群れになかよく合流、敵対するはずの捕食者同士がなぜ?
「こんな交流は初めて見ました」とベテランガイドも驚くレアな光景、米イエローストーン国立公園
雪が降る米国ワイオミング州のイエローストーン国立公園で、ジョシュア・ウェルター氏は道路のすぐ南にオオカミの大きな群れを発見した。しかし、群れの中に興味深い訪問者がいた。ハイイログマ(ヒグマの亜種)だ。 【動画】ヒグマがオオカミの群れになかよく合流、レアな光景 ウェルター氏とそのツアーの一行は、ハイイログマとオオカミがその場で数分過ごした後、一緒に立ち去ったことに驚嘆した。「こんな交流は初めて見ました」とウェルター氏は言う。氏は12年前からイエローストーン周辺で活動しており、現在はツアー会社イエローストーン・ワイルドライフ・プロフィールズのガイドとして働いている。 ウェルター氏によれば、その後2週間にわたって、同じクマとオオカミの群れが近くにいるのが何度か目撃された。ハイイログマが同じオオカミの群れの周囲にとどまる期間としては異常に長いと、野生生物学者のクレイトン・ラム氏は述べている。ラム氏はカナダのブリティッシュ・コロンビア大学と調査会社バイオダイバーシティー・パスウェイズに所属している。 多くの場合、ハイイログマがオオカミの群れに近づきすぎるとオオカミが追い払い、逆にオオカミがハイイログマの縄張りに入ればクマが追い払う。しかし、2021年に発生し、ごく最近Redditに投稿された遭遇の動画では、2つの頂点捕食者が一時的に休戦したように見える。
なぜ休戦したのか?
ハイイログマがオオカミの群れの名誉会員になったと想像すれば心温まるかもしれないが、実際は餌が動機である可能性が高い。 米ユタ州立大学の野生生物生態学者ダニエル・マクナルティー氏によれば、クマは空腹であれば、オオカミの群れが仕留めた獲物を奪うこともあるという。 「あれくらい大きな群れと1頭のクマがこのように交流するのを見たことがあります」とマクナルティー氏は話す。「オオカミがクマにじゃれているようにも、その逆にも見えますが、正直なところ、クマにとってもオオカミにとってもビジネスなのだと思います」