日本は国会見送り 職場全面禁止15年、受動喫煙対策強化進む米国NYの現状
先月6月に受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正が見送られました。厚労省によると施行までの周知期間として2年間は必要とのこと。東京五輪に向けた法制化は間に合うのでしょうか。世界保健機構の評価基準によると、受動喫煙対策で「最低」レベルとされる日本ですが、米国の事情はどうなっているのか。今回はニューヨーク州・市の例を中心に見ていきたいと思います。 ニューヨークブルックリン在住のライター金子毎子さんが報告します。
セカンドハンド・スモーク
一般的に英語では、受動喫煙を「セカンドハンド・スモーク(Secondhand smoke)」と言います。セカンドハンドは「中古」の意味で使われることが多いですが、この場合は「間接(二次)」喫煙を指します。ニューヨーク州の専用サイト「nysmokefree.com」のセカンドハンド・スモークのセクションでは、定義に続いて子どもへの害が強調されていました。6歳未満の子どもの11%が、自宅で日常的(週4日以上)に受動喫煙しており、結果として中耳炎やぜんそく、肺炎および気管支炎といった下気道感染症などの健康被害を受けているといいます。
州ごとで異なる受動喫煙対策
その名も「Americans for Nonsmokers’ Rights」という米国のロビー団体のデータによると、米国の総人口の85%をカバーする2万2635の市町村で、ホスピタリティ関連以外の職場、レストラン、バーのすべて、またはいずれかでの喫煙を州法や地元自治体の法律が禁じています。しかし全面的な禁止となると、総人口の58.3%にまで下がります。 米国はその他の国と異なり、たばこに関する規制が国家レベルではなく、各州や市町村レベルで施行されるので、一概に対策事情を語ることはできません。職場・レストラン・バーでの喫煙を全面禁止にしているカリフォルニア州ほか24州や、州レベルでは禁じていないにもかかわらず、郡や市町村がそうしているために、結果としてほぼ全面禁止状態になっているウエストバージニア州やミシシッピー州、反対に喫煙関連禁止法を禁じる法律があるオクラホマ州など、実に様々です。