日本は国会見送り 職場全面禁止15年、受動喫煙対策強化進む米国NYの現状
たとえばニューヨーク州の場合
先述のニューヨーク州の場合は、1990年の「New York Clean Indoor Air Act」が始まりです。店やタクシー、一定のレストラン、そして学校で喫煙が禁じられました。その5年後に今度はニューヨーク市がより厳しい法律を施行し、小さなレストランや喫煙専用ルームのあるレストランおよびバーだけを例外とします。 そこに登場したのが反喫煙運動をライフワークに掲げたマイケル・ブルームバーグ市長です。2003年3月30日、ついにすべての職場(あらゆるレストラン、バー、ナイトクラブなどを含む)での喫煙を全面的に禁じた法律が施行されました。その前の週には州議会でも市の法律の抜け穴を埋めるためのより厳しい法案が通過。喫煙専門ルームを設けたレストランも規制対象にすることで、「分煙」も不可となったのです。市と州が足並みをそろえたワンツーパンチで、事実上ほぼすべての職場における全面禁止に持ち込んだのでした。 しかしそこまで来るのに、市と州が歩調を合わせながら10年以上の歳月が流れています。最初はそれだけ、ビジネスや愛煙家(そして一部の非喫煙者も)の反発が強かったからです。ですから日本でも、これを実現するには短距離ではなく、長距離のメンタリティが求められるのかもしれません。もっとも2020年の東京オリンピックというデッドラインがあるので、そう悠長なことも言ってはいられませんが……。
No Fun City ── 面白みのない街
日付の変わる2003年3月30日の夜中12時を前に、バーで最後の1本を惜しみつつくゆらせた愛煙家たち。前日29日付のCBSウェブサイトに掲載された記事には、イーストビレッジのバーにいたチェインスモーカーの言葉が引用されていました。「市は最初にバーでダンスをするなとか、公園でビールを飲むなとか言い出した。それが今度は夜飲みに出かけても、たばこも吸えませんだって。これじゃあまるでNo Fun Cityだ。」 「まるでスターリン式」という声もある中で、ブルームバーグ市長は当時、「人は基本的に喫煙者の隣にいたいと思わないものだ。すぐに慣れてしまうし、多くの命が救われることになる」と全く意に介しませんでした。それどころかその手を緩めることなく、2011年には市内の公園やビーチ、歩行者用の広場、病院のエントランス周辺での喫煙も禁止しました。