松本人志は‟完全敗北”だったのか…やっと見えた!「芸能界復帰への道」弁護士が指摘する「被害女性&文春とのある合意点」の可能性
完全敗北ではなかったという見方も可能
この違いにより、『訴えの取り下げ』の場合は、週刊文春側もこちらの主張を一部受け入れ、これ以上の裁判の長期化を避けることに合意したと、松本人志さん側が主張しやすくなります。その結果、完全敗北ではなかったという見方も可能になります。 また、事件終了後に松本人志さん側と週刊文春側の双方が手堅い外向けのコメントをすぐに出していること、裁判期日が先送りされた経緯などを考えると、秘密保持条項などによる非公開の合意事項が含まれている可能性もあります。さらに、お互いに相手のコメントを事前にチェックし、妥協の産物として今回の解決に至った可能性が高いと考えられます。 ーー週刊文春は「原告代理人から、心を痛められた方々に対するおわびを公表したいとの連絡があり、女性らと協議のうえ、取下げに同意することにしました」とホームページでコメントし、朝日新聞(11月8日)には<週刊文春が昨年12月27日発売号で記事にした女性2人のうち30代の1人は8日、朝日新聞の取材に対して、「割り切れない思いはありますが、一定の謝罪がなされたことは重要で、これでそれぞれが前に進めると感じています」とコメントした>とあった。この両者も「合意」に応じた理由は何だと思いますか。 野澤隆弁護士 被害者とされる女性、そして報道した週刊文春の双方に、早期解決を受け入れる下地があったと考えられます。
目に見える大きな利益を見込むのは難しい
まず、被害者女性についてですが、事件を思い出すこと自体がつらい中で、SNSや一部マスメディアで批判を受けている状況がありました。その批判は、裁判が続く限り終わらない可能性が高く、想定以上の精神的疲労が重なり、もう関わりたくないと考えたとしても不自然ではありません。 次に、週刊文春についてですが、発行元である株式会社文藝春秋が公に語るのは難しいとしても、『訴訟経済』、つまり「お金」の問題が大きな理由だったと考えられます。週刊誌業界全体が厳しい経営環境に置かれている中で、松本人志さんや吉本興業関連の記事を続報として出したとしても、目に見える大きな利益を見込むのは難しい状況です。こうした中で、弁護士費用や担当社員の人件費をこれ以上負担することは非効率と判断し、早期解決に応じたのはやむを得ない経営判断だったと言えるでしょう。
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