「期限切れの処方せん」調剤できないと伝えたら→「じゃあ薬は飲まない、責任取れ!」薬剤師の困惑に「あなたの責任」「自分の健康のことなのに」
「たまに期限切れの処方せんを持ってきて丁重に調剤できないことをお伝えすると『じゃあ薬飲まない!何かあったら責任とれな!』みたいな雰囲気を出す方には『責任は全て誰でもない、あなたにございます』とだけ言いたい」」 【動画】薬局で「ジェネリックに変更しますか?」聞かれる理由とは? 薬剤師のKENTARONさん(@kentaron1971)がXに本音を吐露。この投稿が100万件以上表示され、話題となりました。 「自分のミスを他人に押しつけては駄目」 「言って良いと思います。自分の健康のことなのに他人任せすぎます」 「私の経験では半数くらいの医療機関では4日間以内と会計時に伝えられますね」 「何かあった時に責任取れないから期限切れの処方箋では薬の用意ができないっつってんのに」 投稿には、4日間の受け取り期間を放置したことに対して、KENTARONさんの本音に共感するコメントが続々。なかには、「処方せんの期限が4日という現行ルールも見直して良いと思う」といった意見もありました。 KENTARONさんに処方せんについて詳しくお話を聞いてみました。
薬を受け取りに行く時間がないと思った場合は…
――期限切れの処方せんは、よくあることなのでしょうか? 普段の平日は期限切れ処方せんを持ってこられる方は比較的まれなのですが、連休後は多くなるように思います。ちょうど連休前に処方せんをもらった場合、期限が切れる3連休の後など持ってこられる方が現れる確率が高い感じです。 ――年齢層など、どういった方々が期限切れになることが? 期限切れ処方せんを持参する患者さんの層としては、慢性疾患でかかられている中高年の方が多いように感じられます。急性疾患の方は薬をすぐに飲みたいということもあり、必然的に処方せんをもらったらすぐに薬局に来られる方が多いです。 ――処方せんは「交付日を含めて4日以内に提出」となっていますが、なぜ期限が? 処方せんで出される医薬品は医師が診察した時点の患者の症状や状態に合わせた薬が処方されています。診察時点から4日経過することで患者の状態も変化していること、また、土日祝をはさんだ場合でも4日あれば受け取れる可能性が高いため、この期限が定められていると考えられます。 個人的には慢性疾患の患者さんなどは、薬剤師が患者さんの状態を把握して、ある程度期限を延長できてもいいのではないかとも思います。 ――横柄な態度を取る患者さんに対して、調剤できないことを丁重にお伝えするのも労力がかかることかと。 現在、期限を過ぎた処方せんは無効となるのでいかなる理由があっても調剤することは不可能です。 患者さんによっては治療を継続しないと状態が悪くなる方もいらっしゃるので、事情を説明したうえで再度医療機関を受診して、処方せんを再発行してもらうようお伝えします。 また、どうしても処方せん期限内に薬局に来ることができない場合は、診察時に医師にその旨を伝えれば、処方の時点で医師が期限を延長してくれる場合があることも説明します。 ほとんどの患者さんは事情を説明すると了解してくれますが、まれに「それなら薬を飲まない」と言って帰る人もいるので、そういった場合はその後治療が継続できたのか心配になります。 ――期限切れを防ぐ一番の方法は? やはり処方せんをもらったらすぐに薬局に行くことが一番です。どうしても難しい場合は処方せんをいったん薬局に預けたり、または自宅の近くの薬局に処方せんをFAXやアプリですぐに送信し、後で薬を受け取りに行く方法が現時点では一番効率が良いのではないかと思います。 ただ、その際に気をつけていただきたいことがあります。 処方せんを預けたり、FAXを送ったらもうそれでOKではなく、薬を受け取るのも必ず処方せん期限内に受け取っていただきたいということです。薬を実際に服薬指導して患者さんに手渡すまでが調剤なので、そこまでの過程を期限内に終わらせる必要があると思われます。 ◇ ◇ 厚生労働省のホームページでは、「保険医療機関(病院や診療所)で交付される処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内です。これには、休日や祝日が含まれますので、処方箋の使用期間が過ぎないようにご留意ください。なお、長期の旅行等特殊の事情があり、医師や歯科医師が、処方箋に別途使用期間を記載した場合には、その日まで有効となります」としっかりと明記されています。 KENTARONさんが教えてくれたように、処方せんを受け取ったら可能であればその足で薬局へ。難しい場合は、アプリやFAXを活用しながらひとまず提出し、忘れないよう4日以内に薬を受け取りに行きましょう。処方せん交付日を含めた4日以内に薬局へ行くことができないことがあらかじめ分かっている場合は、診察時に医師にご相談を。患者さんにとっても薬剤師さんにとっても困り事のない薬の受け渡しができることが理想ですね。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)
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