「ちょっと疲れたな」順調だったイタリア生活、でも母には伝わっていた“危険なサイン”…大塚達宣(24歳)を救った母の助言と石川祐希の存在
世界最高峰のイタリア・セリエA挑戦が始まった――さらなる飛躍のために海を渡ったバレーボール日本代表・大塚達宣(24歳)が新天地に選んだのは、昨季まで石川祐希が在籍したミラノだった。今年9月に取材した様子とあわせて、現在地をレポートする。【NumberWebインタビュー全2回の2回目/前編から続く】 【画像】「ブランの前で子供みたいに泣く藍&西田」「石川キャプテンの前でグッと涙をこらえるタッちゃん」まだ見たい“男子バレー秘蔵写真”を全部見る ミラノ合流直後は、とにかく自分をわかってもらおう、チームを理解しようと、テンションを上げて積極的にコミュニケーションを取った。疲れていてもチームメイトと過ごす時間を優先し、毎日イタリア語を勉強した。 毎食用意されていたパナソニック(現・大阪ブルテオン)時代とは違い、朝晩の食事は栄養面を考えながら自炊し、体のセルフケアにもこれまで以上に時間をかけた。 だが頑張りすぎていたのだろう。ミラノ合流から約2週間が過ぎた頃、ふと考え込んだり、気持ちが落ち込むことが増えた。 「最初は新しい環境、体育館、家、街、とわからないことだらけで、1日が長く、濃い感じだったんですけど、少し生活のリズムに慣れてくると、ふと寝る前とかに『自分、全然言葉理解できへんな』とか、いらんことを考えるようになって……。すぐに言葉を理解できないのは当たり前なのに。 慣れてきたからこそ、人と話すネタも少なくなってきて会話も続かないし。僕自身あまり(イタリア語で)細かいことを話せないから余計に。日本に帰りたいとまでは思わなかったですけど……。たぶん代表が終わってからあまり休めていなかったからだと思いますが、気持ち的に『ちょっと疲れたな』という時期がありました」 今思えば危険なサインだったかもしれない。そんな時、大塚を救ったのは母・淳子さんとのLINEだった。 ミラノに行ってから淳子さんとは毎日連絡を取るようになっていた。「日本にいた時よりも濃い話を親にしてますね」と大塚は笑う。 大塚には妹がいるため実家では「お兄ちゃん」と呼ばれている。「ちょっと疲れてきたかも」ともらすと、真面目で頑張り屋な「お兄ちゃん」の現状を淳子さんはすぐに察したのだろう。的確で温かいアドバイスを次々に送ってくれた。 「たまにはスーパーでアイスでも買ってきたら?」 「明日、練習が午後しかないんやったら、朝は無理せずゆっくり寝てみたら?」 「泣けるドラマ観て、思いっきり泣いたら?」 「のんびりできる時は、美味しいもの食べたり、思いっきり泣いたり、いっぱい寝たり、できるだけ自分のご機嫌をとりましょう」 「スタートは成功したから、ここからは少しのんびりいこう。チームの人はみんな、もうどんな性格かわかってくれてるやろうから、しんどい日はあんまり頑張って語学の勉強せんでもいいと思うよ」 「人と比べなくていいんだよ」ということもよく言われるという。 「最初からチームにフィットして活躍できる人はいてへん。あ、石川さんはイタリア長いから、比較対象外やで」 石川祐希や高橋藍の名前がちらほら出てくる。イタリアで成功した2人のことを大塚がつい意識して、自分を追い込んでいると感じたのかもしれない。 「いろいろ言ってくれて、楽になりましたね」と大塚は感謝する。
【関連記事】
- 【最初から→前編を読む】「お前、ユウキと全然違うな(笑)」イタリア人が驚いた大塚達宣の“グイグイ精神”…「24歳の海外挑戦」はバレー界の新しい選択肢になるか?
- 【画像】「ブランの前で子供みたいに泣く藍&西田」「石川キャプテンの前でグッと涙をこらえるタッちゃん」まだ見たい“男子バレー秘蔵写真”を全部見る
- 【あわせて読みたい】「甲斐優斗がいるのに勝てない状況が続いてて…」男子バレー名門撃破の専修大“インカレ初制覇”の舞台ウラ、4年生たちが“日本代表の後輩”に恩返し
- 【話題の人】男子バレー新監督は自転車通勤!?「ヒョイとまたがって…お茶目な人」選手も信頼するロラン・ティリ(61歳)の素顔
- 【天才セッターが宣言】「もっと極めたい」関田誠大(30歳)はまだまだ燃え尽きていなかった…パリ五輪が新たな出発地点に「ジェイテクトで日本一に」