運動嫌い、筋トレ嫌い必見!「筋トレは3秒でも効果あり!」『たった3秒筋トレ』著者・中村雅俊さんインタビュー
――特に女性の場合、運動面だけでなく、見た目を気にする人が多いですよね。 そうなんです。筋肉はソーセージをイメージするとわかりやすいのですが、中に筋肉が詰まっていて、膜で覆われています。一番外側が皮膚になります。筋肉が減ると、髪の毛よりも細い筋繊維の中に、脂が入ってくるんです。外からの見た目は変わらないですし、霜降り肉と聞こえはいいのですが、ハリはなくなっていきますし、重力に逆らえなくなって、“だるん”とした感じになるんです。さらには、加齢とともに、皮膚も老化していきます。そのため、ますます見た目も若い頃から変わっていくのです。 特に後ろ姿は顕著で、背中やお尻にたるみが出てきます。筋力が衰えれば姿勢を保つのも難しくなるため、ますます老けて見えるようになります。 私が指導している70~80代の女性たちは、「あの人は姿勢がきれいだからいいわね」などとよく話されています。男性は他の男性の姿勢よりも、握力の強さや、髪の毛の多さが気になるようです(笑)。
運動が大事とわかっていても、続けられない!
――運動が大事、運動をしたいという人は多いのですが、それがなかなかできないのが現状ですよね? そうなんです。よく講演会の会場で、来場者に「運動が大事だと思う人は?」と聞いてみると、みなさんが「大事」と答えます。でも、「運動をしている人は?」と聞くと、目をそらす人が多いんです(笑)。なぜやらないのかを聞くと、「しんどい」「やっても続けられない」「どんな運動をしていいかわからない」という答えがかえってきます。 ジムに通って、ストレッチ、有酸素運動、筋トレなどフルコースで運動をしている人には何も言うことはなく、ぜひそのまま続けてください! でも、それができない人は、どんな運動だったらやってもらえるかを考えました。「しんどい」「大変」「時間がかかる」といったものをどんどん削っていって行き着いたのが、「3秒筋トレ」なんです。 ――「3秒」で本当に効果があるの? というところが気になります。 60~80代の男女に10週間取り組んでもらった結果、 筋力がアップして筋肉量が増え、筋機能も高まることが証明されています。このことをまとめた国際論文は、「ニューヨーク・タイムズ」紙にも取り上げられました。 たった3秒といっても、1回3秒の運動を1日10回やったら30秒だけですが、1週間続けたら210秒(3.5分)、1年間(52週)続けたら10,920秒(182分)にもなるんです! 「3秒筋トレ」の動きはどれもシンプルで、「ゆっくりお尻を下ろす」「ゆっくり脚を下ろす」「ゆっくり膝を曲げる」といった、「エキセントリック運動」を意識しているところがポイント。これは、筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する運動のことで、短時間でも効果が高いのが特徴。また、人は階段を登る、脚を上げるといった動作よりも、降りる、下るといった動作の方が危険を伴うため、筋肉はいつも以上に力を発揮するんです。 僕が若い頃、高齢者や怪我の人の筋力をアップさせて、より良くなってほしいという気持ちが強すぎて、「あれもこれもやってください」「この運動をする時は、呼吸を意識してください」などといろんなものを提示しすぎてしまいました。そんなにたくさんのことを言われてもできないのが普通で、当時の僕は空回りしていたと反省しました。だからこそ、呼吸や正しい姿勢は二の次。ゆっくり「1、2、3、4、5」と数えるとちょうど3秒くらいになるので、数えながら「下ろすだけ」「しゃがむだけ」という最低限のトレーニングを考案したのです。 ――1日あたり30秒で、しかもどこでもできるのであればやれそうな気がします。あとは、それが継続できるかどうかですよね? これは生活の一部に取り入れて、習慣化するのが一番確実だと思います。歯を磨く時にかかとを下ろす運動をするとか、椅子に座る時にゆっくり座るとか……。年齢を重ねても見た目を若く保ちたい、運動機能を維持したいと願うことがモチベーションになる人はぜひそうしてほしいのですが、「こんなみっともない姿で運動したくない」とマイナスに働く人もいます。そういう人こそ、日常生活の動きに組み込んで無理なく続けてもらえたら、と思っています。
中村 雅俊