何もしなければ、筋肉は減っていく!

――高齢者を中心に運動指導を行っているということですが、やはり年齢を重ねるとどんどん衰えてしまうのでしょうか? 私が指導しているのは60代以上の方が中心で、最高齢は100歳を超えている人です。この方は、運動機能は低下してはいますが、家で日常生活を送ることができています。いろんな方を見ていて感じるのは、60歳を超えた頃から、動ける人と動けない人の差が大きくなっているということです。 筋肉の機能（筋機能）は、運動不足の人だと30代以降では年1％、50代以降になると2％の割合で減り続けることが明らかになっています。20～30代のピーク時と比べると、筋機能は80代までにおよそ30～40％も低下してしまいます。  よく混同されるのですが、年齢を重ねていくと、「筋肉」はあっても、「筋力」がない人が増えていきます。筋肉は車に例えるとエンジンのようなもの。筋力はそのエンジンが生み出す力のことです。いくら筋肉がたくさんあっても、エンジンを動かせなければ、力は発揮できず、車を走らせることはできません。 また、筋肉を使わないでいると、筋肉は減っていく一方で、筋力もますます発揮できなくなっていきます。筋肉が1減ると、筋力は2減ると言われています。 ――筋肉を使い続けると、筋肉や筋力は維持することができるのでしょうか? はい。少しでも使い続ければ可能です。もちろん、筋肉に筋トレで刺激を与えて増やすことはできますが、一度失ったものを取り戻すのは大変。それなら少しでもいいから筋トレを続けて、持っている筋肉を減らさずに維持する方がはるかに楽です。 今は便利な世の中で、家に居ながらにしてネットで買い物ができるので、体を動かさなくても生活はできます。「しんどいから動きたくない」から、「動きたいのに動けない」になるまではあっという間です。ミモレ世代のみなさんは、減りかけている今がまさに筋トレスタートの時期!　減ってしまったと気づいてからスタートすると本当に大変です。 また、女性はもともと男性よりも筋肉が少なく、骨格的に股関節の痛みが生じやすいです。また、膝の痛みがある人も女性の方が多いんです。だから、ぜひ女性の方に筋肉を維持する運動を習慣化してほしいと思っています。