今年も6球団。ドラフト1位指名公表に効果はあるのか?
プロ野球のドラフト会議が今日17日、都内ホテルで開催される。大船渡の佐々木朗希、星稜の奥川恭伸、明治大の森下暢仁の“BIG3”に1位指名が重複しそうだが、ここまで日ハム、ロッテ、西武の3球団が佐々木、ヤクルトが奥川、広島が森下、中日が東邦高のスラッガー石川昂弥の1位指名を公表した。昨年もドラフト前日までに6球団が1位指名を公表しており、1位公表は、近年のトレンドともいえるが、果たして効果はあるのだろうか。
昨年に続き今年も6球団が1位指名を事前公表
ドラフトと言えば、当日朝の最終決定が常識だった。球団によれば、ドラフト当日の昼過ぎまで、情報収集に走り、そこでようやく決定するという場合もあった。理由は、他球団の動向調査。球団の多くは、前日の夜には、指名相手側に対して、「明日は1位で行くことが決まりました」と担当スカウトが連絡を入れるため、そこから情報が洩れ、評価が同じならば重複の少ない選手を指名するなどの戦略が変わってくるからだ。 だが、近年は、事前公表がトレンドになった。今回は、日ハムは早々と佐々木の1位指名を公表。ドラフト前々日にロッテが佐々木、ヤクルトが奥川の1位指名を公表。前日の16日には、中日が石川、広島が森下、西武が佐々木の1位指名を公表した。 昨年も、ヤクルト、巨人、中日が根尾昂(中日)、ソフトバンクとオリックスが小園海斗(広島)、ロッテが藤原恭大(ロッテ)の1位指名を公表している。 元ヤクルトの名スカウトである片岡宏雄氏は、1位指名公表の狙いについて、こう分析する。 「昔は、あり得なかった。私も長嶋一茂を1位指名したときなどは、それとなくは、事前に匂わせたが、今みたいにハッキリと公表するケースはなかった。もしクジで外して、他の選手を外れ1位で獲得することになった場合には、その選手や関係者へ失礼にあたるのではないかと配慮した。最近、事前の公表が増えたのは、1位指名選手が12人揃わず重複のケースが増えたことも理由だと思う。公表することで、ひとつでも重複を減らす効果になればという狙いと、どうぜ1位指名が揺るがないのであれば、球団の誠意を見せておきたいという2つの目的があるのだろう」 1球団でも、重複を減らし確率をアップさせるための他球団への牽制と相手への誠意。12球団中、半分が公表しているため「蓋を開けてみれば」のサプライズが減り、結果的に、各球団共に、外れ1位も含めた戦略を組みやすくなっているのかもしれない。 ただ、昨年の例で言えば、中日が根尾、ロッテが藤原を射止めたが、根尾には、4球団、藤原には、阪神、楽天も入札しており、公表による牽制効果があったとは言い難い。小園に至っては、公表していなかった広島がクジを引き当てた。誠意という部分に関しても、佐々木が「12球団どこでもOK」と、プロ入り会見で表明したように、近年は、特定球団への入団を拒否する選手は、ほとんどいないため、あまり意味はない。