球界大御所がOP戦勝ち星無しの阪神に喝!「必要なのは我慢と教育と練習」
阪神が今だにオープン戦での勝ち星がない。8日、岡山・倉敷で行われた楽天とのオープン戦にも1-7で完敗した。これで5連敗。いくら勝敗は、関係のないオープン戦と言えど12球団で勝ち星がないのは阪神だけとなっては開幕が不安になる。 しかも内容が悪かった。ローテー入りが期待されていた望月が先発、最速154キロはマークしたが、大事な局面での制球ミスが目立ち7失点と炎上した。1回に先制点を許した場面も一死二、三塁から新外国人のブラッシュに対してカウントを0-2と追い込んでおきながらフォークが甘く入って痛打された。“頭”で防げる失点だった。 加えてバッテリーは196センチ、106キロの巨漢のブラッシュに無警戒で三盗された。一、三塁から足でひっかき回されて失点、傷口を広げた。本来、矢野監督がやるべき野球を楽天にやられた。 矢野監督は、糸井、福留、鳥谷ら主力を9、10日の甲子園でのオープン戦に備えて居残りさせ若手主体の打線を組んだが、楽天の開幕投手に決まっている岸に5回まで翻弄され、本番想定の必勝リレーの前に、わずか1点しか取れなかった。 侍ジャパンに選ばれた大山が不在のため「一番・三塁」で起用されたドラフト3位の木浪が2安打1安打と一人気を吐いたが、代わりに4番に入った陽川は、4タコの2三振。若手のアピールの場は、楽天のチームの仕上がりを目立たせる機会になっただけだった。 スポーツマスコミの報道によると矢野監督は「寂しいね」と嘆いたという。 この時期に経験、打席が必要なはずの新外国人のマルテも甲子園に残留。一方で楽天の新外国人のブラッシュは3安打4打点と大暴れした。ただでさえ3月の試合数が少ない阪神において、このあたりの起用意図もよくわからない。 倉敷は2003年に阪神を優勝に導いた故・星野仙一氏の故郷である。星野氏は4年連続最下位だった阪神の監督を引き受けた初年度となる2002年のオープン戦では「負け癖を取っ払って勝ちにいく」と大号令をかけ、ベテランや外国人選手も特別扱いせずに本番さながらの選手起用をして15勝3敗2分で“優勝”した。その勢いのまま開幕から7連勝。結果的にチームに地力がなかったため4位に終わったが、最下位慣れした阪神に悔しさを植え付けて翌年の優勝に向けての下地は作った。 オープン戦の成績とレギュラーシーズンの成績に正しい因果関係はないが、オープン戦で最下位のチームが優勝したケースは、ここ10年では2008年の巨人しかない。おそらく故・星野氏は、最下位で澱んでいた“空気”を変えたかったのだ。 矢野監督は、選手の立場で、そういう“星野式の勝利マネジメント”を見てきたはずなのだが、最下位から巻き返さねばならない阪神の今見せる野球が、これで大丈夫なのだろうか?