バルサ開幕4連勝&バルサBで16歳のスター候補誕生 新指揮官のもと伝統の下部組織出身者が躍動
「フリックの信頼のおかげで、気持ちが解放されてプレーできるようになっているよ。選手は何をすべきかわかっているから、不必要なプレッシャーがない。地に足をつけてプレーできるんだ」 フリックは選手のスカウティング力も高い。現状、抜擢された選手は及第点以上の働きを示している。一時は放出リストに名前が挙がったラフィーニャを左サイドに置いて得点力を引き出し、同じくエリック・ガルシアは、センターバックとしては致命的な弱さがあるも、マルク・ベルナルの代役(前十字靭帯断裂で約1年の離脱)としてアンカーで起用した。 そしてフリックの"隠し玉"とも言えるのが、メッシから背番号10を継承したアンス・ファティだろう。 昨シーズン、ファティはプレミアリーグのブライトンにレンタル挑戦するも、三笘薫とのポジション争いに完敗した。トップ、トップ下でも定着できなかった。最後はたび重なるケガにも悩まされるなど「終わった」と囁かれ、一時は放出リストに入っていた。 しかし、フリックは"ラ・マシアの最高傑作"に再び10番を与えた。足裏のケガでトップチーム帯同が遅れていたが、代表ウィークで合流。練習ではアクロバティックなシュートも見せ、週末のジローナ戦のメンバー入りが有力視される。シュート技術は今も世界屈指と言われるだけに......。 現時点でフリック体制は順風満帆だ。10月にはガビも靭帯断裂の大ケガから復帰が予定され、さらに戦力は整う。 一方で、来週からは新形式のチャンピオンズリーグも開幕。試合が増え、ストレスも増し、若い選手が1シーズンを戦うのは簡単ではない。これからがフリック・バルサの本番だ。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki