琴桜、初V前進12勝目「最後まで慌てなかった」年間最多勝争いでも64勝でトップ大の里に並ぶ
<大相撲九州場所>◇13日目◇22日◇福岡国際センター 大関琴桜(27=佐渡ケ嶽)が初優勝に向けて前進した。好調の隆の勝を逆転の上手投げで下して12勝目をマーク。4日目から10連勝とし、年間最多勝争いでも64勝でトップ大の里に並んだ。大関豊昇龍は大の里をとったりで退け、こちらも1敗をキープ。隆の勝は3敗に後退し、2敗が消えた。新大関の大の里は5敗目。優勝争いは、千秋楽で琴桜と豊昇龍の対戦が予想されるため、事実上2大関に絞られた。 ◇ ◇ ◇ 押し込まれても、琴桜は冷静だった。2敗で追う隆の勝に立ち合いで低く当たられて前に出られるも、右を差してこらえる。再び相手が前に出てきたところで左上手を取ると、周り込んでの上手投げで転がした。「攻め込まれて内容は良くないけれど、最後まで慌てなかった」と振り返った。 結び前の一番では、同じく1敗の大関豊昇龍が土俵際で逆転勝ちした。直後には自身も逆転での白星を手にしたが、気持ちに大きな動きはない。「変わらず目の前の一番に集中してやるだけ」と淡々と語った。 大関5場所目で安定感が増している。夏巡業中に腰を痛めた影響で十分な稽古が積めず、秋場所では勝ち越すのがやっとだった。しかし順調に調整できた今場所は、3日目こそ王鵬に不覚を取ったものの、その後10連勝中。「結果が求められる番付け。考えすぎて硬くならず、やれることをやっていくだけ」。集中力を高め、快調に白星を伸ばしている。 この日の朝稽古後には、米大リーグでドジャースの大谷翔平が2年連続MVPを獲得したニュースに反応。報道陣に「皆さんもそっち(米国)に行ったほうが良いんじゃないですか」と笑った。相撲の世界では、一年を通じて幕内での白星が最も多かった力士が年間最多勝の表彰を受ける。九州場所が始まる前の段階で琴桜は、トップの大の里に4勝差をつけられていた。逆転は難しいと思われたが、じわじわと差を詰め、年間64勝目を挙げたこの日、ついに追い付いた。 14日目は、その大の里との直接対決。勝てば年間最多勝が決まり、初優勝にもさらに近づく。そして千秋楽では豊昇龍との対戦が濃厚。1年納めの場所も大詰めを迎えるなか、これまで通り「平常心」を貫く。【奥岡幹浩】