冬眠続く個別株オプション市場、7年ぶり値付け業者参入で萌芽の兆し
(ブルームバーグ): オランダに本社を置く世界的なマーケットメーカー(値付け業者)のオプティバーホールディングは、取引の低迷が続く日本の個別株オプション取引の潜在成長力は大きいと見て、市場が今後活性化する可能性に賭けている。
オプティバーは2008年に日本市場へ参入し、今年9月には12銘柄の個別株と指数連動型上場投資信託(ETF)のオプション取引で値付けを開始した。来年6月をめどに流動性を供給する銘柄数を30まで増やす方針。機関投資家営業部長の安岡日平氏がブルームバーグのインタビューで明らかにした。
安岡氏は、流動性のある個別株オプション市場は投資家に多様な商品とリスク管理、持ち高(ポジション)のヘッジなど高度な金融ツールを提供できると指摘。日本の個別株オプション市場は「低い流動性や取引高の小ささといった歴史的な課題を打破できる状況にある」と語った。
日本の個別株オプション市場にマーケットメーカーが参入するのは17年4月以来、7年ぶりだ。1997年にスタートした同市場では長年、流動性の低さなどが市場関係者の間で大きな懸念材料となっていた。しかし、日本株が史上最高値を更新したことをきっかけに国内外からの関心が高まっており、多様な投資戦略を可能にするオプション取引にも恩恵が及ぶ可能性がある。
オプティバーの参入で市場は活性化し始めた。大阪取引所のデータによると、主要10銘柄を対象とした想定元本ベースで見た個別株のオプション取引金額は11月に60億円と、オプティバーが値付けを始める前の8月の810万円と比べ急増。同社はトヨタ自動車やソフトバンクグループ、東京エレクトロン、三菱UFJフィナンシャル・グループなど日本を代表する企業のオプションで流動性を供給している。
日本では、日経平均株価などを原資産とする株価指数オプションの取引が主流だ。大阪取引所に上場する個別株オプションは上場投資信託(ETF)を含め約200銘柄あるが、相対がほとんどで市場での取引は少ない。主要10銘柄のプット(売る権利)とコール(買う権利)を合わせた1日の取引高も数百枚程度にとどまり、数百万枚単位に達するオプション先進国の米国や欧州、インドとは対照的だ。