72歳、悩んだけれど「買ってよかったもの」。必要かどうか長い目で見て判断
40代でシングルマザーに。さあ、どう生きていこう?
40代で離婚。学費と養育費はもらえるものの、生活をどうしていこうか。いちばん不安だったのはその時期だったと伊藤さんは振り返ります。 「私が外に働きに出てお金を得るべきか。そうすると、この葉山の家と庭の手入れは行き届かなくなってしまいます。それよりも、ここを活用して仕事にしよう、この家で働こう、と決めたんです」 庭の手入れは、力仕事も含めてすべて自力で。果樹を植え、傾斜地も耕して畑にしました。 「お金のある・なしよりも“食料さえあれば食べていける”、そんなふうに考えていましたね。お金を稼ぐことよりも、この環境を維持することに力を注ぎたい。試行錯誤で失敗だらけでしたけど、なんとかやりきれたんじゃないかな? あとは娘が、どう工夫して発展させてくれるか。彼女の手腕に期待してます」
●お金がなければないで、なるようにしよう
インドネシアのいとこが送ってくれるバティック。エプロンに仕立てて大活躍でしたが、傷んできたので今はマルチカバーに。「お金がなければないで、なるようにしよう。その工夫があれば不安はなくなります」
自分にとって必要かどうかは長い目で見て判断する
お金に余裕がないときに、欲しいものに出合うこともある。そんなときは「欲しい」気持ちと冷静に向き合って、将来だれかに受け継いでもらえるか、無理してでも手に入れる価値があるかを考えます。「買ってよかったものは、今も私を支えてくれているものばかりです」
●迷って悩んで、でも買ってよかった!伊藤さんにパワーをくれるものたち
民泊の居室で存在感を放つ中国のアンティークだんす。リネン類のストッカーにしています。「これがあるだけで、部屋の雰囲気が決まるんです」 アジアの古い寝台(ベッド)は長椅子に。「重くて丈夫。今の時代のクッションやラグがどんなに傷んでも、これは残り続けていますね」 鎌倉の雑貨店で出合ったハンガーラックは「その月の電気代がこれに化けて大変でした(笑)」。今も玄関で、伊藤さんや家族を温かく迎えてくれます。 キッチンツールをつり下げるラックは「少々お高かったけれど、武骨で丈夫で便利! 背丈に合わせてセットしてあるから使いやすい。娘が欲しがらなかったら、売ってもいいやと思ってます」 年齢は取材当時のものです
ESSE編集部