なぜ”世紀の再戦”を井上尚弥は「通過点」と語りドネアは「キャリア最大の試合」と位置付けたのか…その先に年末開催で交渉中の4団体統一戦
WBAスーパー&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(29、大橋)とWBC世界同級王者ノニト・ドネア(39、フィリピン)の日本初となる3団体統一戦(7日・さいたまスーパーアリーナ)の公式会見が3日、横浜市内のホテルで行われた。両選手共に次なる目標を4団体統一戦に置いていることを明かし、この再戦を井上は「通過点」、ドネアは「キャリア最大の試合」と位置付けた。会見に出席したドネアが契約している新興プロモート会社「プロべラム」のリチャード・シェーファー氏は、WBO世界同級王者のポール・バトラー(33、英国)のプロモーターでもあり、大橋秀行会長は、ドネアとの再戦に勝てば、年末実現を目指して4団体統一戦の交渉に入ることを約束した。
「3つのベルトを見るとモチベーションが上がる」
井上とドネアの2人がついに公の場に姿を現した。新型コロナ対策のため、ここまでの公開練習は、すべて代表取材。2人が顔を合わせたのも、あの2年7か月前の「ドラマ・イン・サイタマ」と評されたWBSSの決勝戦以来だ。 テーブルに置かれた3つのベルトに目をやりながら井上が「ワクワクしている。3つのベルトを見るとモチベーションが上がる。一度手を合わせているし、どんな戦いになるか。自分もファンも楽しみ」と余裕を持って語れば、ドネアも、「興奮している。井上は素晴らしいファイター。私もワクワクしているし、楽しい試合になる」と言葉をつないだ。 通常、調印式並びに公式会見は、試合の2日前に設定されるが、独占生放映をするAmazonプライムビデオ側の意向と、5日が大安吉日で、ホテルの宴会場がすべて埋まってしまっていることから異例の試合4日前の公式会見実施となった。その残り4日間は両陣営共に主に減量の最終調整に費やされる。 「よりイメージを高めて、気持ちを上げていくだけ。やることは少ない」 井上は準備完了。 ドネアは、「オレが最強だ、オレが統一王者にふさわしい、オレがベストだと、念じていく」と、瞑想トレーニングを続けることを明かした。 井上ードネアの初戦では、井上が2回に不用意に左フックを浴びて右目に眼窩底骨折を負い、相手の姿が二重に見えるようになり、モンスターのボクシングは崩れた。それでも時間の経過と共に徐々に立て直し11回に鮮烈の左ボディでダウンを奪った。レフェリーまでドネアにうまく誤魔化され「幻の10カウント」となり、KO決着とはいかなかったがポイントでは井上の圧勝だった。井上のストーリーは、海外へ展開する計画で、2020年4月に当時のWBO世界同級王者、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)との試合がラスベガスでセットされたが、年が明けた頃から世界中が新型コロナ禍に見舞われ、3団体統一戦は流れた。その後、井上は、米国ラスベガスで上位ランカーのジェイソン・マロニー(豪州)、IBFの指名試合のマイケル・ダスマリノス(フィリピン)を連続KOで下し、昨年12月には日本で格下のアラン・ディパエン(タイ)と2年ぶりの凱旋試合を両国国技館で行った。 「(対戦相手の)質がどうであれ(ドネアとの)試合が決まったときからのトレーニングで自分が成長したなと思う。この再戦はプラスの一戦になる」