財政破綻のJBCが亀田興毅氏らへ賠償金約1億円を満額支払う…東京ドームの支援を得て復活へ…“行列の”北村弁護士は「膿を出さねば改革は難しい」と不安視
財政破綻により解散し清算法人となっているJBC(日本ボクシングコミッション)が1日までに“亀田裁判”の賠償金の支払いをようやく全額済ませたことが明らかになった。JBCは、元3階級制覇王者で現在はKWORLD3ジム会長の亀田興毅氏(35)、元2階級制覇王者で同ジム副会長の大毅氏(33)らに、不当な処分で経済的損失を受けたと訴えられた民事訴訟裁判に一審、二審で敗れて約1億円の損害賠償を命じられていた。この敗訴が決定打となり一般財団法人としてのJBCは3月末に解散、賠償金を支払う原資がなくて困っていたが、三井不動産の傘下に入っている東京ドームが資金援助を決断したもの。東京ドームは、JBCの再建にも手を差し伸べることになり、清算法人となっていたJBCは法人の復活手続きに入った。一連の問題の責任を取る形で永田有平理事長、浦谷信彰執行理事は退任、新理事長には東京ドームホテルの元会長である萩原実氏が就任する方向で進められている。再出発へ向け協力関係の強化が急務の日本プロボクシング協会(以下協会)との協議も“最終段階”に入っており、早ければ今月中旬にも、新体制での復活が発表されるが、裁判で亀田側の代理人を務めた北村晴男弁護士は「膿を出す努力をしないと改革は難しい」と警鐘を鳴らしている。
賠償金額減額と父のライセンス再取得の“交換取引”は誤解
行方が注目されていた亀田裁判の賠償金約1億円が無事にJBCから満額支払われた。 人気番組「行列のできる相談所」などの出演でも知られる代理人の北村弁護士が「正確に言うと強制執行で取りたてていた分を除いての合計で満額です」と説明した。 亀田裁判は2014年にJBCが所属ジムの会長とマネジャーのライセンス更新を認めなかったことで自動的に亀田3兄弟のライセンス更新が許されず、事実上の“国外追放”となった一連の処分を「違法」と訴えたもの。亀田側は三軒茶屋に開設したばかりの立派なジムが閉鎖に追い込まれ、「1億円以上の赤字」(興毅氏)との経済的損失をこうむり、結果的に興毅氏、大毅氏の2人が現役引退することにもつながった。 裁判所は、一審、二審共に、これらのJBCの処分を「違法」と認め、一審では約4500万円、二審では約1億円の賠償金の支払いを命じ、JBC側が控訴を断念したため、判決が確定。 だが、被告側であるJBCは、財政が破綻して一般財団法人は解散。現在、清算法人に切り替わっており、経済支援先を見つけてこない限り、賠償金の支払いは難しいとされていた。 JBCの永田理事長、成富毅事務局長が、一連の裁判で敗訴した弁護士とは違う新しい弁護士を伴い、北村弁護士の事務所を訪れ弁済についての協議が行われ、「多少の減額」の申し入れがあったが「事案の性質上お受けできない」と拒否した。 その際、原告の興毅氏が求めていた父・史郎氏のトレーナーライセンスの再交付が、引き換え条件にされたという衝撃事実を興毅氏が「デイリー新潮」に明かして問題になった。だが、「引き換えという趣旨ではなく、その問題も同時に解決しませんかという話でしたが、私と依頼人(興毅氏)とのコミュニケーションに若干の問題があったため誤解があったようです」と、北村弁護士。「同時に解決」という申し出を興毅氏が「減額との引き換え条件だ」と誤解して受け取ってしまったという。