ほぼ「五公五民」の国民負担率は本当に高いのか、OECD加盟国には「負担率86.8%」という国もある
「なんで額面と手取りがこんなに違うんだ……」。毎月手にする給与明細を目にして、こんな感想を持つサラリーマンは多いことでしょう。 自動的に天引きされるため、あまり深く考える機会のない「税金」や「社会保険料」ですが、青山学院大学法学部教授の木山泰嗣氏は、それらがいったい、どのような理屈に基づき徴収され、どういった用途に使われているのかについて、私たちはもっと興味をもったほうがいいと説きます。 税金と社会保険料の違いや共通点、また、最近「五公五民」などと話題に上がることの多い「国民負担率」の実態について、木山氏の著書『教養としての「税金」』から、一部を抜粋・編集して解説します。 【グラフ】諸外国と比べて、日本の「国民負担率」はどれくらい?
■「似ているけれど違うもの」に意識を向ける わたしは、私立大学の法学部で教員の仕事をしています。学生に講義をするときに、どの授業でも必ずいっていることがあります。それは「『似ているけれど違うもの』を意識しなさい」、ということです。 法学部の授業では、専門的な用語や概念、制度がたくさん出てきます。教室の席に座っているだけだと、これらの言葉のシャワーを浴びることになり、ちんぷんかんぷんになってしまいがちです。しかし、「似ているけれど違うもの」が意識できるようになると、ただの言葉の羅列に思えたものが、違うものとして活き活きとしてきます。
それはひとことでいえば、「興味をもつ」ということです。 人の名前を覚えるときも、好きなプロスポーツのチームがあれば、所属チームや背番号はもちろん、きっと応援しているチームではないチームの選手の名前さえも覚えることでしょう。それは興味があるからです。 学校で習うことも含めて「学ぶこと」の対象も、じつは興味をもてば、全然違った意識が芽生えます。とはいえ、そこまで強い興味をもてない。でも学ばなければならない。そういうことが多いかもしれませんし、現実にはそういうことが多いでしょう。