準VのU-20女子W杯でMVPを獲得した”超新星”浜野まいかの何がどう凄いのか?
昨シーズンのINAC神戸を率いた星川敬監督(現Y.S.C.C.横浜監督)は、浜野を「次の日本代表を担う選手」と位置づけていた。なでしこジャパンの指揮も執り、来夏にはオーストラリアとニュージーランドで共同開催される女子ワールドカップに臨む池田監督は、浜野や長江を含めたすべての選手へメッセージを送った。 「アンダーカテゴリからシニアにいくと、成長させなければいけない部分が多くなると思うけど、今大会で体感したことを大事にしていってほしい。ギリギリの戦いも多かった感覚のなかから、伸ばしていくべきところや足りないところ、これはいけるというストロングポイントへの自信を持ち、その上で武器をさらに磨いていってほしい」 ピッチの外ではかけがえのない経験も積んだ。 決勝戦後に行われた表彰式。大会MVPのトロフィーを携えて表彰台から戻ってきた浜野を、3位になったブラジルの選手たちが取り囲んで祝福したのだ。 実はブラジル戦後のヒロインインタビューの第一声で、浜野は「戦ってくれたブラジルの選手たちに感謝したいです」と、死闘を繰り広げた相手を称えている。さらに最後をスペイン語で「Gracias」で締めたリスペクトの思いが届いていたのか。スペインとの決勝へ向けて、ブラジルがハイタッチでピッチへ送り出す光景も生まれていた。 コスタリカで感じた思いを、浜野は独特の言葉で表している。 「試合を重ねるごとに、観客席が見えなくなってきました」 日本を応援しようとコスタリカの人々が駆けつけ、空席がなくなっていったと伝えたかった浜野は、さらにこんな思いも紡いでいる。 「試合中に相手チームが(ボールを)持ったときにブーイングが起こっちゃったり、日本が持っているときに応援してくれたりウェーブが起こっちゃったり、なんか目が温かったです」 コスタリカでさまざまな思い出を共有した各国の選手たちと、国を背負って次に邂逅できる舞台はA代表となる。そのためにもっと成長した自分の姿を思い描きながら、ボールを持てば周囲をワクワクさせるアルゼンチン代表リオネル・メッシに憧れる浜野は、サッカー一色に染まった青春を無我夢中で突っ走っていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)