準VのU-20女子W杯でMVPを獲得した”超新星”浜野まいかの何がどう凄いのか?
得点感覚だけでなく、プレーのスピード、守備でも貢献し続ける豊富な運動量、そしてトラップなどの正確なテクニックが高く評価された。 2016年大会のMF杉田妃和(当時INAC神戸、現ポートランド・ソーンズ)以来となる日本人選手のMVP獲得という偉業を、浜野は自分を支えてくれたすべての人々に捧げている。 「個人としてはMVPを取れましたが、ひとりの力だけでは決して取ることができない賞なので、いままで関わってくださったみなさん、家族や友だち、仲間、コーチ、スタッフ全員の方々に感謝したいです。(大会が行われた)この1ヵ月間は私にとって、いままで生きてきたなかで一番濃かった時間です。この経験をこれからも生かしていきたい」 神戸市内の通信制高校の3年生に在籍する浜野は、昨年9月に旗揚げされたWEリーグの初代女王、INAC神戸でプレーするプロ選手でもある。 大阪・高石市で生まれ育ち、セレッソ大阪堺レディースのアカデミー組織で心技体を磨いた。年代別の女子代表に名を連ねた逸材は、高校1年生だった昨年3月には東京五輪を控えるなでしこジャパン候補合宿にも招集された。 しかし、セレッソがWEリーグ参戦を見送ったことで、昨年8月にINAC神戸へ電撃移籍。プロとして受け取る報酬の使途を「お母さんがやってくれているので、ちょっとわからないです」と屈託なく笑いながら、こう語ってくれたこともある。 「お金を稼いでいるという実感はないけど、サッカーに集中できる生活が夢だったので、それがまず、かないました。多分、他の人よりも少しだけ速いと思うので、スピードのあるプレーを見てほしいんですけど、スピードだけに頼らずに考えるプレーもしたい」 ノエビアスタジアム神戸に大宮アルディージャVENTUSを迎えた、昨年9月12日の開幕戦でいきなり2ゴールをあげた。しかし、層が厚いINAC神戸でなかなかチャンスをつかめず、WEリーグ元年は開幕戦の2ゴールだけで終わった。 自宅から練習に通っていた浜野は、今年に入ってINAC神戸の寮生活に切り替えた。大好きなサッカーにさらに集中できる環境が整ったなかで、WEリーグのピッチ上で募らせたふがいなさも、背番号「11」を背負って臨んだ今大会にぶつけた。 五輪代表としてU-23代表が活動する男子と異なり、女子はU-20代表を卒業した後は年齢無制限のA代表へ、日本でいえば「ヤングなでしこ」から「なでしこジャパン」の戦いへ移る。18歳の浜野の視線も一番上へ、そして招集されるために欠かせないINAC神戸での活躍へと向けられた。会見ではこんな言葉も残している。 「この大会で自分自身の技術であるとか、フィジカル面の足りなさをすごく感じました。なでしこジャパンで世界一になるためには、世界中の誰よりも努力して、もっと日々成長しないといけないと感じたので、自チームに帰っていろいろな偉大な先輩たちからたくさんの話を聞いて、もっともっと成長したいと感じました」