効率化の罠!B2Bマーケティングにおける「面倒なこと」の本当の価値
行き過ぎた効率化がかえって遠回りになる? 効率化の罠
この体験を通して気づいたのは、間違った“効率化”は逆に成果を遠ざけてしまうことでした。 本来ならLP制作においては、コピーやデザインを考える前に、お客様について深く理解することが不可欠です。
なぜなら、お客様がどんな人で、どんな課題を抱えていて、どんなインサイトを持っているかを正しく理解できなければ、お客様にどういったメッセージを届ければよいかが定まらないからです。お客様に響くメッセージが作れなければ、当然成果も望めません。
しかし、私の場合、早く成果を出したいからと、そういった顧客理解のプロセスを適当に済ませて、LPの完成を優先させてしまいました。それゆえ成果も得られなかったのです。 効率化そのものは悪いことではありません。しかし、本当は効率化すべきでないことを効率化という名目で削ってしまうと、罠にはまってしまうのです。
「面倒なこと」の本質的な価値
ここからは、効率化の対極にある「面倒なこと」の価値について考えてみましょう。 ほとんどの人は、面倒なことを嫌がります。しかし、ときには「面倒なこと」が大きな価値を持つと考えています。
では、なぜ「面倒なこと」が価値を持つのでしょうか。その理由は、当たり前かもしれませんが、誰もやりたがらないので、差が付くからです。
面倒なことは、大きく4つの問題で実行のハードルが高くなります。 1. 知識やスキルの問題 2. 人的リソースの問題 3. 費用の問題 4. 時間の問題 1つの問題でも大変なのに、複数の問題が組み合わされると、たちまちハードルは高くなります。 ただ自社にとってハードルが高いということは、他社にとってもハードルが高いはずです。そのハードルを越えられれば、そのまま競合優位性となりうるのです。 一方で自社にとって取り組みやすいことは、他社にとっても取り組みやすく、同質化されてしまう可能性が高いです。 たとえば、検索連動型広告が良い例です。今から15年ほど前、検索連動型広告はまだ黎明期で、運用に専門知識が必要だったため、出稿するハードルは非常に高い状態でした。それゆえ出稿できた企業は、大きな利益を手にすることができました。 しかし、今はAIの進化もあって、ほとんど知識がなくても広告を出稿することが可能になりました。まさに面倒なことではなくなったのです。誰でもできるということは、すなわち、広告出稿自体で競合優位性を出しづらくなっているのです。 では、現在はどういった点で差が付くかといえば、広告の訴求内容です。どういった人が、どういうシチュエーションで、どういったことを考えてこのキーワードを調べているのか。顧客の理解がより重要になっています。 顧客理解を深めるためには、実際に顧客から話を聞いたり、定量調査をしたりといった面倒な作業が不可欠です。まさに面倒なことが価値を生むようになっているのです。