日産シルビア2000ZSE-X(昭和54/1979年3月発売・S110型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト102】
シャシ回りでは、ようやく旧式のリーフリジッド式リアサスペンションが廃止されたことが話題だった。そもそも先代のシルビアでもリーフスプリングがそのまま継承されることなどデビュー前には誰も予想していなかったのだから、これは時代には遅れた進化だった。 結果、採用されたサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアが4リンク+コイルという構成だが、基本的にこのサスペンションやフロアパネルはバイオレットの流用と考えられる。 もちろんシルビアへの流用にあたっては、横力を受け止めるオフセットコイルスプリングの採用など改良を受けた部分は数多い。ベーシックグレードを除いたほとんどの車種に前後ともスタビライザーが備えられた。 ブレーキはフロントがディスク、リアがドラムという構成が基本だが、2ℓモデルではリアにもディスクブレーキが備えられていた。ホイールも従来型より1インチ大径の14インチとなり、その運動性能を飛躍的に高めることに貢献した。2Lモデルでエンジン回転数感応式のパワーステアリングが標準装備されたのも、やはり当時としては大きな話題のひとつだった。 当時のインプレッションを振り返ると、シルビアの最強モデルが積む2LのZ20E型は、従来の1.8Lより5ps/1.5kgm強力だが、トルク感は同等なフィーリング。ハンドリングはアンダーステアが減り、コーナリング限界も高くなっている。ただ限界を超えると強烈なオーバーステアになる傾向があると記してある。 ちなみにガゼールは、シルビアと共通のメカニズムや装備内容などを持つ兄弟車種。昭和60年代から徐々にその数を減らしていった日産の兄弟車だが、ガゼールの名も昭和61(1986)年に日産の車種ラインアップから消滅し、シルビアのみが継続して販売された。
3代目S110型シルビアは、そのスポーティな雰囲気と、ホンダのプレリュードと同様にパーソナルユースに供されるスペシャリティカーという明確な位置づけで、若いユーザーを中心に高い人気を誇った。ここでは触れないが、昭和56(1981)年に設定されたターボバージョンなどの人気も絶大なものとなった。