<改正地方自治法>「総合区」と「都構想」は何が違う?
3月23日に投開票された大阪出直し市長選は、「大阪都構想」を訴えた橋下徹候補が再選を果たしました。しかし、これで「大阪都」が一気に実現に向かうというわけにはいかないようです。その理由は、日本維新の会以外の政党が都構想に反対しているという政治的な問題に加え、今国会で地方自治法の改正案が議論されているからです。(※2014年5月、同法改正案は参院本会議で可決され、成立しました) 【図解】「大阪都構想」のそもそもの狙いとは?
きめ細かい行政、二重行政の解消など共通点
改正地方自治法は総務省が推進している政策で、そこには政令指定都市の行政区を新たに総合区に指定することが盛り込まれているのです。大阪都と総合区は似ている部分があります。 「大阪都や総合区の議論が出てきたのは、2011年頃からです。実は、大阪都も総合区も、大きすぎる政令指定都市では行政が行き届かないのではないか? という同じ問題意識からはじまっています」(総務省自治行政局行政課) 地方自治法改正案には道府県と政令市の二重行政を解消するための「調整会議」の設置も盛り込まれています。 それでは、大阪都構想と総合区構想は、何がどう違うのでしょうか?
政令指定都市に置かれる「行政区」
政府は地方分権を推進するために、地方自治体の体力を向上させようと2000年頃から市町村合併を奨励してきました。その結果、政令指定都市は20市まで増えました(2014年4月1日現在)。 政令指定都市は、行政区と呼ばれる区が設置されるのが特徴です。例えば、横浜市には18区、名古屋市には16区、大阪市には24区、福岡市には7区の行政区があります。しかし、千代田区や新宿区を抱える東京の23区は特別区と呼ばれる、東京都にしかない制度です。同じ“区”ですが、中身は大きく異なります。
「都構想」では特別区長は選挙で選出
特別区が独立した地方自治体なのに対して、行政区は市の内部組織でしかないのです。東京23特別区は独立した地方自治体なので、区長も区議も選挙で選出されます。ところが、横浜や名古屋や大阪や福岡の行政区の区長は、区役所の職員でしかありません。だから区長を選挙で決めることはありませんし、そもそも区議会はありません。 大阪都構想を大雑把に言えば、行政区を特別区に変えて中核市並みの権限を与え、民意を反映できるように区長を選挙で選出しようという改革です。橋下市長は、現行の24行政区を新たに5特別区に再編すると提唱していました。