ポピュリズムの財政リスクが剥き出しに? 欧州とフランス債券、これだけの不安
有権者への訴えの柱は減税だ[下院選の結果発表を控える中、ルペン氏の演説に集まったRNの支持者たち=2024年6月30日、フランス北部のエナン・ボーモン](C)AFP=時事
選挙イヤーといわれる2024年。世界の多くの国・地域で、左右の別なくときの政権与党が苦戦を強いられている。11月に 大統領選が投票を迎える米国 はいわずもがな。6月30日の第1回投票を経て、7月7日に下院の決選投票を迎えるフランスには、政治体制の土台が揺らぎかねないと、熱い関心が寄せられている。 マリーヌ・ルペン氏が率いる国民連合(RN)の躍進に、誰もが当惑の色を隠さない。金融市場では、フランス国債の価格が急落し、フランス株がひとり際立って下落している。エマニュエル・マクロン大統領のRN封じの奇策にいったんは買い戻しが入るも、事態は崖っぷちである。 日本の投資家たちは、米国の金融政策に一喜一憂するのに比べて、欧州情勢の展開にはいささか疎い。だが日本勢は合わせて25兆円あまりのフランス債券を保有し、外国投資家としてはフランス国債の最大の保有者なのである。「欧州情勢は複雑怪奇」。寝耳に水の独ソ不可侵条約の報に内閣総辞職を余儀なくされた、戦前の平沼騏一郎内閣の故事が蘇る。
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滝田洋一