中国経済、トランプ2.0の最大リスクは「産業空洞化」――米中貿易摩擦の先に控える「日本の来た道」
米国は中国製造業の「東南アジア経由の迂回輸出」に厳しい目を向ける[トランプ次期米大統領(左)と習近平中国国家主席(右)](C)AFP=時事
中国経済が迷走している。 習近平政権 が8月以降、次々に繰り出した史上空前の規模の広範な景気対策は「砂漠に撒いた水」のように蒸発しつつある。中国の国有企業、民間企業経営者から個人投資家、庶民に到るまで自国の将来に明るい展望を持てず、外資も見放しつつあるなかでは、政府がばらまいた資金は投資や消費を誘発できないからだ。株価や不動産を強引に押し上げようとしても一時的な上昇のみで、たちまち利食い売りで押し戻される。 そうした政府対市場のもみ合いの最中に、米国で「中国叩きの急先鋒」の ドナルド・トランプ 前大統領の再登板が決まった。中国経済は降下が続くなかで、巨大ハリケーンに巻き込まれようとしている。 中国人民銀行は9月下旬、政策金利と預金準備率の追加引き下げに踏み切った。続けて政府は株価対策を発表、株価スワッププログラムによって証券、保険会社、投資ファンドに株式購入資金を5000億元(1元=21円)供給するほか、銀行を通じて上場企業の自社株買いや大株主に株式購入資金を3000億元も貸し出す。合計すれば8000億元となり、「国家隊」と呼ばれる国有金融機関や政府系投資ファンドが今年行った株式買い入れ策による投資規模、900億元とはケタ違いのインパクトを持つ。
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後藤康浩