“伝家の宝刀”フォークボールはビール瓶で鍛えた!? “元祖ハマのエース” 遠藤一彦氏が明かす三振の山を築いた決め球の秘密 憧れの長嶋氏にかけられた驚きの言葉とは
ビール瓶でフォークのトレーニング!?
徳光: そのフォークボールは、いつどうやって覚えたんですか。 遠藤: 担当のスカウトから、「何か落ちるボールを放ったら、もうちょっと幅が増えるぞ」って言われたんです。それで、2年目のキャンプから練習するようになりました。 遠藤: キャンプのとき、ほとんど受けてくれたキャッチャーは辻(恭彦)さん。辻さんって、村山(実)さんのフォークを…。 徳光: そうか、阪神時代に。 遠藤: 受けてましたんで。それで、「村山さんはこうだったぞ、ああだったぞ」って、いろいろと教えてもらいました。 遠藤氏はフォークを投げるために、テニスボールやビール瓶を使って指を鍛えていたという。 遠藤: テニスボールは試合中にグッと握ったり人差し指と中指の間に挟んで締めたり。 徳光: それで握力を鍛えていたんですか。 遠藤: はい。そういう練習をしてましたね。 松原さんに「おう、強くなったな」って言ってほしいばっかりに(笑)。 徳光: その答えはあったんですか。 遠藤: ボールが落ちるようになったんで、ファーストから見て、「鍛えたんだろう」って評価してくれてたんじゃないかとは思いますけどね。 徳光: なるほどね。松原さん自身もキャッチャーでしたからね。 遠藤: えっ、キャッチャーだったの。 徳光: 飯能高校の名捕手ですよ。 遠藤: へぇ、それは知らなかった。 徳光: すみませんねぇ、そういうのが好きなもんですから(笑)。 ビール瓶はどう使うんですか。 遠藤: ビール瓶は遊びです。スナックに行ったら、ビール瓶を人差し指と中指で挟んでついでたんです。 徳光: すごい。そんなことができるんですか。日本中に何人もいませんよ、こんなことできる人。 遠藤: いや、できるんじゃないですか。 徳光: 僕はできないですよ。 遠藤: 指を開けばできるんですよ。 徳光: いやいやいや(笑)。 遠藤: 飲みに行ったときにビールが出てくるじゃないですか。そしたら、「じゃ、ついでやるよ」って。そんな感じで遊びながら鍛えてました。 徳光: なるほど。 遠藤氏は2種類のフォークを投げ分けていたという。 遠藤: 指を縫い目にかけずにボールのセンターを挟む。これが一つですよね。真っすぐ落ちることが多いんですけど、シュート気味も多いんですね。そうすると左バッターには逃げていくから効くんですけど、右バッターだと中に入ってくるんで、ちょっと高めだとやられるんです。 遠藤: だから、もう一つは中指だけを縫い目にかけるんですよ。そうすると、ちょっとひっかかりますよね。中指をかける投げ方だとスライダー気味に落ちる。 真っすぐは普通、投げる瞬間に指先で切ってボールに逆回転を与える。フォークは基本的には回転させないでいくわけですよね。私はフォークの握りで真っすぐを投げるイメージで放ってました。ボールを挟んだ状態で切る。そうすると指の間から抜けてくっていう感じです。 徳光: 投げ方自体は真っすぐと同じってことですね。 遠藤: はい。だからバッターからすると、真っすぐに見えたんじゃないかと思います。
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