85歳の脳科学者が断言、「勉強ができる子」「勉強ができない子」の”親の共通点”がわかった…!
自己保存の過剰反応を止める
富山県のある小学校に講演に呼ばれたとき、「この中で先生が嫌いな人は手を挙げてください」と聞いてみました。先生たちは驚いていましたが、10名ほどの手が挙がりました。すかさず「今、手を挙げた人はバカになると脳科学ではわかっています」と言うと、今度は子どもたちが驚きました。 一番前に座って隣の子とつつき合って話を聞いていない子がいました。たぶん1年生だと思います。私はその子を指さして、「君! 君のミッションはなんですか?」と質問をしました。いきなりそんなことを言われて答えられないのはわかっていましたが、あえて聞いたのです。もちろん、その子は答えられませんでした。 そこで私は「ミッションというのは使命ということなんだ。君のミッションはね、お母さん・お父さん・家族・先生、それから友達を好きになって、いつも全力投球することだ! わかりましたか?」と言いました。その子は「はい」と小声で返事をしました。そこで「もっと気持ちを込めて返事してください!」と言うと、今度は「はい!」とこころのこもった良い返事が返ってきました。 それ以後、その小学校では、「ミッション」という言葉が流行りました。その結果、いつも1回戦で敗退していた野球チームが快進撃をしたり、学校全体の成績も上がってきたという報告を受けました。子どもは純粋なこころを持っているので、十分に意味が理解できなくても、正しいことを正しい方法で繰り返し実践していると、自然とその真髄に触れることができるようになるのです。 林氏はそういう子供たちを育てるために、脳科学の面から子どもたちの「育脳」の方法を研究し、提唱し、実践してきたという。本書で紹介されている方法のいくつかを次に紹介したい。
うまくいかないのは手を抜くから
●すぐにイエスという返事と行動ができる子に 潜在能力を鍛えるには、何かを頼んだときにすぐ「はい」と返事をして行動ができる子に育てることも大事です。間をおいてはだめなのです。考えるよりも先に動くように仕向けてください。2秒以内に行動を起こす「2秒の法則」を身につけるように促してください。 子どもは純粋なこころを持っていますから、正しい要求なら多少無理なことでも頑張る力を持っています。私自身、そうでした。母から「一人で4人分頑張ってほしい」と言われたとき、周りの大人は「そんな無理なこと」と言いましたし、実際にいくら頑張っても四人分達成するのは難しかったのですが、なんとか達成しようと常に全力投球をしていました。その結果、運動神経も抜群になり、成績も最優秀になりました。 全力投球しないと潜在能力は鍛えられませんし、発揮できません。うまくいかないのは手を抜くからです。だから、普段から損得抜きに全力投球する習慣をつけることが大事なのです。そのために、2秒以内にイエスという反応をするように要求する。それが身につくと、あっという間にいろいろな問題が解決していきます。 無理なことでも子どもを頑張らせることはいいことです。ただし、これには「正しい要求なら」という前提がありますから気をつけてください。 ●子どもの友達は自分の子どもと思って 子どもの友達は自分の子どもだと思って育てましょう。私の親もそうでした。友達が家に来たときには、私以上に友達に気を使い、大切にしていました。そうすると、どうなるでしょう。友達からすると「林の家に行くと大切されるから、林も大切にしなければいけないな」と思うようになるのです。 運というものは他の人が持ってきてくれることもあります。運を持ってきてもらうためには、誰からも好かれるような人になることが大事です。そのためには、誰も仲間外れにしてはいけません。いじめというのは仲間外れにするところから始まります。たとえば、「みんなはズボンをはいているのに、あの子だけスカートをはいている」と誰かが言うと、同一・一貫性の法則に従って、みんながその子を嫌いになってしまうのです。はっきり口で言わなくても、なんとなく嫌だと感じることが仲間外れの原点になります。 いじめというのは、同一・一貫性を求める人間の本能を克服していかないとなくならない問題です。ここをよく考えないと、気がつかないうちにいじめる側になってしまうこともあります。