コピーライターが言語化に最も時間をかける工程 名コピーはその場でパッと思いつくものでもない
■言語化のいちばんの近道は、自分の話を聞くこと 聞く力を身につけて、まわりとの関係をよりよくしていきたい。そして、仕事や人生をいいものにしていきたい。そう考えるのは、とてもすてきなことです。 私は、さらにもう一歩進んで、この聞く力を他人だけでなく「自分」にも向けてほしいと思っています。つまり、「自分で自分の話を聞く」姿勢です。 そう言われても、ほとんどの人は、そんなことを考えたことがないと思います。学校や会社はもちろん、「自分で自分の話を聞く」ことについて教わる機会はまずないので、当然です。
ですが、この「自分で自分の話を聞く」姿勢こそが、自分の頭のなかを言語化するうえでは必要不可欠なことだと考えています。 言語化力のベースは「聞く力」にある。 なぜ、私がこの結論にたどりついたのかというと、コピーライターの仕事を続けながら、国家資格である「キャリアコンサルタント」の資格を、2023年に取得したことがきっかけです。 「なんで、わざわざ、コピーライターである荒木さんが、キャリアコンサルタントの資格をとろうと思ったんですか?」
資格取得の話をすると、必ずそんな質問をされます。その理由は、意外かもしれませんが、コピーライターの仕事と、キャリアコンサルタントの仕事が、とても似ているからです。 私は「コピーライターの仕事を続けていくうえで、キャリアカウンセリングの知識や技術が、きっと役に立つはずだ」と考えて、勉強をすることにしました。 どんな点で2つの仕事が似ているのかをお伝えする前に、そもそもコピーライターの仕事がどんなものか、なかなかイメージしにくいと思いますので、まずは、そのお話をさせてください。
■心を打つ名コピーは、思いつきでは生まれない あなたは、コピーライターって、どんな仕事だと思いますか? ときどき、飲み会などの場で、次のように言われることがあります。 「コピーライターなんだから、この場でパッとキャッチコピーを考えてよ」 もしかしたら、あなたも「コピーライターは、キャッチコピーやキャッチフレーズをパッと考えられる人」というイメージを持っているかもしれません。 残念ながら、それは完全に誤解です。私たちコピーライターは、大喜利で次々と笑わせる芸人さんや、即興でなにかをつくるアーティストのように、その場でパッと答えや成果物を出す職業ではないからです。