徹底解説!トランプ政権下で「為替」はどう動くか
アメリカ大統領選は共和党のトランプ氏が勝利した。これによって、今後の為替相場はどう動くか。みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌大輔氏に見通しを聞いた。 ※記事の内容は東洋経済の解説動画『どうなるアメリカ』から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。 【動画を見る】「為替はどうなる?」2016年との違い/トランプ氏の政策が及ぼす影響/足元の円安は投機的トレードが原因/自動車への追加関税で揺さぶられる懸念/石破政権がトランプ氏に主張すべきこと ■投機的なトレードで足元は円安になっている
――為替相場に関して、トランプ氏が前回当選した2016年との違いはありますか。 2016年は「もしトラ」という言葉があったように、トランプ氏が当選するのは「まさか」だったわけですよね。トランプ当選と共に円高株安になるんじゃないかと言われていましたが、ふたを開けたら円安株高になった。 今回はトランプ氏が勝ちそうだから、アメリカの金利と物価が上がって円安・株高がたきつけられるんじゃないかというマーケットのコンセンサスがあって、そのとおりになりました。
――一度経験しているから予想ができたということですね。トランプ氏は来年1月に大統領に就任しますが、これからの為替相場のメインシナリオをどうお考えですか。 トランプ氏が公約として掲げていたものがどれくらい実行に移されるのかはわかりませんが、トランプ氏がやりたい政策、つまり財政は拡張路線で金融政策は緩和、移民規制、追加関税、減税を全部実行したら普通はインフレになる。インフレになれば当然利下げはできず、アメリカの金利は高く保たれて、日米金利差は拡大したままでドル円相場は高止まりする。
そのシナリオを織り込んで、投機的なトレードで円安が進むという状況が足元では続いています。来年もそれが続くと思っている人が基本的には多い。ただ、日本についていえば、2022年、2023年と比較して2024年の東京外為市場における円相場の需給環境として、円を売りたい人はけっこう減ってきています。実需の円売りは過去2年に比べると迫力がない。 投機主導で相場が作られていくと崩れるのも早いですから、円安方向に進むにしても値幅がそうとう出る半年間ないし1年間と思っておいたほうがいいです。