なんと、「紀元前1世紀の沈没船」にコンピュータが積まれていた…!太陽と月、さらに5つの惑星の動きまで予測する「驚愕の精巧度合い」
走行距離を「1マイル」単位で測る仕掛け
1981年になって、現代の技術者・スレースウイックによって復元されたウィトゥルウィウスが記した走行距離計を図に示す。 馬車の車輪の内側につけられた歯によって、一つのギアが1回転するごとに垂直ギアを一段階進められる。馬車の車輪が400回転するごとに水平ギアが一段階進み(簡略化のために、図に描かれた垂直ギアの歯の数は400ではなく72である)、それがローマの1マイルの距離に相当していた。 水平ギアには穴が開けられ、そこに丸い石が置かれている。 1マイル進むごとに、1個の石が細長い筒を通って垂直ギアの後ろにある箱に落ちる仕掛けになっており、その石の個数によって走行距離が1マイル単位でわかるというものである。 この装置において重要なのは歯車とその組み合わせだが、偉大な技術者であったアルキメデスは複雑な歯車連動装置をつくることができた。
沈没船に遺されていた“複雑な歯車連動装置”
古代ギリシャにおける究極の“複雑な歯車連動装置”は1901年、クレタ島の北西にあるアンティキテラ島沖の沈没船から回収された「アンティキテラの機械」である。 これが何であるかが判明したのは、1951年にイェール大学のプライス教授が科学的調査を開始してから二十数年後のことであるが、その後の研究成果(たとえば、T. Freeth et al., Nature, 2006.11.30, 2008.7.31)によって、驚くべき精密さで太陽と月に加え、当時知られていた水星から木星までの5つの惑星の動きを予測し、太陽と月のカレンダーを計算する“世界最古のカレンダー用コンピュータ”であることが明らかにされている。 プライス教授は二十数年の時を費やし、X線投影法などの科学的手段を駆使して複雑なギアの復元図を得ている。その復元図によれば、中心の歯車の回転は太陽年を表し、それより小さい歯車は太陽と月の位置や、いくつかの重要な星が昇ってくる位置を示す。歯車群の全体は木製の箱に納められ、箱の扉を開けると驚くべき仕掛けを見ることができた(Nature, 2006.11.30)。 2008年には、青銅の表示盤上に古代ギリシャの全ギリシャ(Pan-Hellenic)競技祭典の開催年を示すと思われるギリシャ文字が発見された。競技開催のインターバル(1~4年)、開催地(イストミア、ネメア、オリンピア、ピューティア、ナア)などが記されていたのである。
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