《FPが解説》老後の保障“シンプルな共済への切り替え”の注意点 掛け金の安さを重視した結果、必要な保障が手薄になるケースも
共済への切り替えの注意点
前編記事からここまで6つのケースで共済への切り替えを試算したが、注意点もあると横川氏は続ける。 「あくまで『安くて最小限の保障』で十分なケースであり、万人に共済が向いているわけではありません。手厚い保障が必要な人は、やはり民間保険を検討すべきでしょう」 実際、共済の掛け金の安さを重視するあまり、本来必要な保障が手薄になるケースも少なくない。 今年3月に亡くなった会社員男性(享年47)は、「高校、大学進学を控える2人の子のため少しでも節約を」と、死亡保障1500万円の生保(月5000円)から都道府県民共済の総合保障2型(月2000円)に乗り換えた。 その矢先、脳卒中で倒れ帰らぬ人に。死亡保障は400万円しか下りず、遺族年金と貯蓄もわずかで、残された妻は不安な日々を過ごしている。 一方、自営業男性(65)は今夏、がんの手術を受け、3週間の入院を強いられた。若い時から加入している総合保障型共済で「入院費はほぼカバーできる」と踏んでいたが、65歳以降は入院保障が日額5000円から2500円になると知り悲嘆に暮れた。横川氏が語る。 「お金がかかる子供がいる人は、死亡時の保障だけは充実させるべきです。この会社員男性の場合、保険を解約せず継続するか、共済なら死亡保障が倍の『総合保障4型』(月4000円)など、より手厚いタイプに加入する選択肢もあったはず。 また共済は高齢になると保障内容が変化するため、保障だけでは費用が賄いきれないケースが生じることにも留意すべきでしょう」 現在の保障が本当に必要か、無駄な掛け金を払い続けていないかを精査することから始めたい。 ※週刊ポスト2024年11月1日号