なぜ今、イトーヨーカドーは紙媒体を始めたのか? フリーマガジン『はとぼん』を出す意図に迫る【インタビュー】
〈創刊号の反響は“90%以上の人が次からも読みたい”〉
篠塚氏によれば、最初の7月号を読んだ人にアンケートを実施したところ、90%以上の人が次からも読みたいと答え、次はいつ出るのかという声もあったという。「現在はイトーヨーカドー42店舗で基本的には1カ月間配布する形だが、早い店では月の半ばで無くなってしまうくらい人気がある。認知度もだんだん高まっており、これを目当てに月初にご来店いただき、見ながらお買い物をしていただけるようになれば本当にありがたいと思う」という。 では同社はリテールメディアをどう捉えているか。望月氏は「“メディア”本来の意味で捉えれば、お客様と私たちの間にあるもの全部がメディアということになるだろう。それがたまたま今のSM(スーパーマーケット)ではデジタルサイネージ、アプリ、そしてフリーマガジンといったものがフィーチャーされている。ただ、本来メディアは読者、オーディエンスといった接する人の数が力や価値を持ち、SMにおいてメディアとしての価値が一番大きいのは“お店そのもの”になる。お店をメディアとして捉え直したときにに、我々はどんなことができるかを考えている」。
「たとえばアプリなどではバナー広告枠やクーポンなどがありリテールメディア=広告という捉え方をする方も多いと思うが、私たちはそう捉えていない。あくまでも情報をお伝えするメディアとして捉え『はとぼん』もお客様にお伝えしたいことを中心に編集している」と話す。 篠塚氏によれば現在、毎月1回20ページで制作するうち、メーカーの「広告」という形のページ1号あたり2社ほどで、それ以外は編集部で紹介する商品も含めて選択し、紙面を作っているそうだ。
実際の編集方針について篠塚氏は「お客様に商品の良さや価値をお伝えしたいという中で、伝え方にはこだわっていきたい。自分たちが伝えたいこと、というようりは、お客様に興味を持っていただけるコンテンツとしての魅力を作っていきたいと思っている。また、クリエイティブにはとにかくこだわろうということで、タブロイド判という判型(※筆者注:一般的な新聞「ブランケット判」の約半分の大きさで、情報誌としてはかなり大きい)を選択したのも、視覚的にも美味しそう、買ってみたいと思ってもらえるようなアプローチをしたいという思いからだ」と話す。 また、取り扱う商品選定については「基本的にはPBもNBも分け隔てなく、当社としてご紹介したいものを選んでおり、そこは一般の雑誌と変わらないと思う。当社はいわゆるSPA(製造小売業)ではなく、さまざまなメーカー様・仕入先様の商品を売ることが仕事で、メーカー様とは異なる小売業という視点で商品の良さを伝えることを大切にしたい」という。
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