「使うと燃費が悪化する」「ステルスブレーキはNG」! エンジンブレーキに関する「SNSの噂」に決着
エンジンブレーキにに関する嘘と本当
インターネットはeコマースのようなビジネスを拡大しただけなく、人間同士のコミュニケーションも拡大している。とくにSNS上では、さまざまなテーマについて個々人の意見が表明され、多くの議論が巻き起こっている。 【写真】レーシングカーでは鉄板装備! 2ピースローターってなに? そうしたなかで、最近クルマ界隈で話題になっているのが「ステルスブレーキ」というものだ。いわゆるバズワードであり、誰がいい出したのか、何を指しているいるのか明らかでない部分もあるが、大筋としては「ブレーキランプが点かないのにクルマが減速している状態」についての批判的な見方から生まれた言葉といえる。 運転免許をもっていなかったり運転経験が浅かったりすると、「クルマの減速=ブレーキランプ点灯」と思っているのも不思議ではない。だとすると、ブレーキランプが点かない減速について、なにか裏ワザを使っているのではないかと思うのかもしれないし、そうした行為について「マナー違反だ!」と憤りを覚えるのも理解できなくはない。しかし、残念ながら、クルマというのはずいぶん前からブレーキランプが点かずに減速することもある構造になっている。 ご存じのように、クルマはアクセルペダルの踏む加減によって加速や速度維持をコントロールして運転するものだ。当然ながら、アクセルペダルから足を浮かせてアクセルオフの状態にすると速度を維持できなくなる。このとき、ブレーキペダルを踏んでいなければ、ブレーキランプは点灯しないが、アクセルオフなのでクルマは減速する。まさに「ステルスブレーキ」と指摘される状態である。 ただし、こうした挙動については、すでに専門用語が存在する。エンジン車においては「エンジンブレーキ」といい、ハイブリッドカーやEVのような電動車では「回生ブレーキ」と呼ばれるのが、アクセルオフで減速する現象を指している。 減速エネルギーでバッテリーを充電する「回生ブレーキ」においては、利き具合を電子制御できるため、アクセルオフでの減速度合いを切り替える機能を有する車種も存在している。そうした車両では、アクセルオフだけでかなりの減速が可能になっていることもあるが、保安基準により「減速度が1.3m/S2を超える場合はブレーキランプを点灯させる」ことが定められ、2014年1月30日以降に型式指定を受けたクルマに適用されている。 ステルスブレーキを主張するクラスタからは「ものすごい減速なのにブレーキランプが点いていなかった」という指摘もあるが、古いハイブリッドカーならまだしも、昨今のモデルであれば保安基準で定められた減速G以上であればブレーキランプは点灯しているはずだ。