えっ、私のモノじゃなかったの?リタイアしたらマンションへの住み替えを夢想していた60代女性、夫の死後に判明した〈新真実〉にびっくり仰天したワケ【相続の専門家が解説】
昨年夫を亡くした60代のマスミさん。夫が遺してくれた自宅に住み続けていますが、リタイアしたらコンパクトなマンションへの住み替えを検討しています。しかし、自宅の登記簿を見て愕然としたマスミさん。一体何があったのでしょうか? 相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)の元に寄せられた相談を見ていきます。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
夫が亡くなり、相続登記は終えたものの…
マスミさん(60代女性)は昨年夫を亡くし、相続が発生しました。夫の財産は自宅と預金で3人の子どもたちは、母親のマスミさんが相続すればいいと、遺産分割に協力してくれて、手続きはスムーズにできています。 しかし、マスミさんには不安なことがあり、相談にこられたのでした。 マスミさんの心配事は自宅のことです。3人の子どもたちは結婚を機に独立して実家を離れていますので、現在、マスミさんは自宅でひとり暮らしとなりました。まだ60代で仕事をしていますが、リタイヤしたあとはコンパクトなマンションに住み替えたいと考えているのですが、自宅は夫の両親と共有名義になっているのです。 マスミさんの夫は次男で生命保険の代理店で自営業を営んできました。郷里から離れて生活するというので、子どもが3人になったときに、家を購入することにしました。夫の両親が半分ほどは援助すると言ってくれたので、決断したといいます。 場所はマスミさんと夫で探して、大きな公園が近くにあり、小中学校にもほど近い新築住宅を購入、それからずっと住み続けています。土地は25坪、木造2階建て4LDKの建売住宅で、夫婦と3人の子供が住むにはちょうどいい家で、マスミさん夫婦は家がとても好きで手入れしながら住んできました。
私、相続できない?相続で共有名義が発覚
マスミさんの夫は何でも自分でする人でしたので、家の購入に関してもマスミさんには詳しい話はしませんでした。マスミさんも不動産のことなどはわからず、気にしてこなかったのです。昨年、夫が亡くなって相続登記をしなくてはとなり、はじめて自宅の登記簿を見ることになり、愕然としたのでした。 夫の両親は「次男だから家を用意するのが親の責任」という話をしており、マスミさんは両親が家を買ってくれたと思っていました。ところが、登記簿を見ると土地、建物ともに15分の7は夫の父親、15分の3は夫の母親、夫は残る15分の5という割合で登記されていることがわかりました。 とりあえずは夫の分、15分の5はマスミさん名義に相続登記は済ませたのですが、残る15分の10については義両親のまま。義両親は90代ながら二人とも健在です。しかもマスミさんは夫の配偶者ではありますが、義両親の相続でも相続権はありません。 夫の代わりになるのはマスミさんの子ども3人。3人とも家を離れていますので、住んでいるマスミさん名義にするのが妥当なところです。ところが亡夫の代襲相続人となるのは3人の子どもたちで、自宅に住むマスミさんは義両親の相続人ではないため、相続することができないのです。
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