地方の「教育困難校」で起きているリアルな問題。教育現場の課題も昔からがらりと変化している
一方で、悪い先生の授業は教科書どおりで一方通行の授業になってしまっています。このタイプは真面目な人が多い側面もあります。また、自分もこの方法でできたから、子どもたちだってできるだろうと考えてしまいがちです。服を選ぶときにその子の適性や好みにあった服があるはずなのに、無理やり大量販売されている服を着せようとしているのと同じです」 中山先生はクラス運営を立て直すために、荒れたクラスの様子を、その学校の校長先生に相談しました。校長先生は授業はもちろんのこと、保護者との関係づくりが上手で、地域でも名高い先生にそのクラスの運営を任せることにしました。
しかし、優秀な先生の授業をもってしても、そのクラスの運営はうまくいかず、子どもたちは先生の話に聞く耳を持ちません。 ■なぜ優秀な先生でもクラス運営がうまくいかない? その原因として、中山先生は、「負の価値観の蓄積」と「負の習慣の蓄積」という2つの原因を考えます。 「1つ目の原因である負の価値観については、親が原因だと考えます。親が『勉強なんか何も役に立たないから授業なんか聞かなくていい』などと、小さい頃から子どもに教えているようです。
もう1つの負の習慣に関しては、親が原因であることに加えて、先生が小学校低学年のころから子どもを注意せず、なあなあにしてきたことが大きいでしょう」 先生によっては、授業中に生徒が歩いたり、私語がうるさくても、容認してしまうこともあるようです。低学年のうちから、授業中の態度も含めて指導しないと、たとえ高学年でいい先生が指導するようになっても、授業態度を変えるのはなかなか難しい部分があります。 中山先生が例に挙げた学校では、現場での授業デザインがうまくできていない現状から、現在も高学年のクラスをリカバリーするための対策を講じています。
過去の教育事情を振り返りつつ、都道府県の中でも、地方の郊外にある学校を訪問し、視察してきた経験を話してくれた中山先生。きびしい教育現場の現状から、地方の現代型「教育困難」の窮状が伝わってきました。
濱井 正吾 :教育系ライター