古代の官僚から平安美人まで──歴史の授業にも登場する名字「小野」のルーツとは?
小野(おの)
「小野」は全国ランキングで52位というメジャーな名字で、古代から伝わる由緒あるものです。 ルーツは地名で、第5代孝昭天皇の子孫が近江国滋賀郡小野村(現在の滋賀県大津市小野)に住んで小野氏を名乗ったのが祖といいます。 推古天皇のときに遣隋使に選ばれた小野妹子は小学校の教科書にも登場します。「子」がつくにもかかわらず男性である、というのは子どもにはかなりの驚きでした。 その後、一族からは多くの外交官が出るようになり、奈良時代から平安時代前期にかけて朝廷の官僚として栄えました。 美人で有名な小野小町もこの小野氏の一族です。 一方、武蔵国に下向した一族もいて、その子孫は関東で武家として栄えました。 また、この他各地に「小野」という地名があり、それらをルーツとする「小野」もあります。 現在では全国に広く分布しており、最も多い大分県では、県で4番目に多い名字となっています。次いで岡山県に多く、このほか東北各県にも集中しています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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