#05 ある漁村の夜 / フォト・ジャーナル 高橋邦典 第3回
ナイジェリア南部のデルタ地域。ギニア湾に面するある漁村に一泊することになった。公共の電気も水道も通っていないこの村では、夜になると発電機をもつ余裕のある家庭や店だけに光が灯る。若者のひとりに誘われて、酒場に繰り出した。 酒場といっても、裸電球の灯る小さな小屋に、2、3のベンチがおいてあるだけ。どんな村でも酒場と言えばそれなりに盛り上がっているのだが、なぜだかここは閑散としていた。 「みな今晩から漁にでるのさ」 なるほど、ここの漁師達はなかなかまじめなのだなと、若者の言葉に僕は妙に納得してしまった。